研究課題/領域番号 |
22590955
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊藤 瑞規 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (50437042)
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研究分担者 |
渡辺 宏久 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (10378177)
熱田 直樹 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (90547457)
千田 譲 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (80569781)
祖父江 元 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (20148315)
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キーワード | 多系統萎縮症(MSA) / volumetry / バイオマーカー / fractional anisotropy(FA) / mean diffusivity(MD) |
研究概要 |
名古屋大学医学部附属病院神経内科に通院している、Gilmannの診断基準でprobable以上であり、頭部MRIの撮影が可能である多系統萎縮症患者17名に、本研究の趣旨・方法などを説明し、文章によるインフォームドコンセントを得ることができた。登録できた17名のMSA患者を、臨床評価項目として神経学的診察所見(小脳失調、パーキンソニズム、自律神経障害、錐体路徴候の有無など)、臨床評価スケールとしてunited multiple system atrophy rating scale (UMSARS)を評価した。同時に、3.0T MR装置を用い、最適化された条件で頭部MRIを撮像した。また、半年後に同様の臨床評価、臨床評価スケール、頭部MRI撮影を行った。得られた頭部MRIから、volumetry、fractional anisotropy(FA)、mean diffusivity (MD)の情報を取得し解析した。 登録時のvolumetory、FA、MDはそれぞれコントロール群と比べて小脳、脳幹など従来から変性が強く認められる領域に異常を示していた。継時的な臨床情報と頭部、MRI撮影を行い、半年後から1年後、1年半後と、コントロールに比べて登録時と同様に小脳や脳幹の変性を強く認めたが、同部位はこの期間では変性があまり進行せず、これらの従来から変性が強いと考えられている部位では変性の進行をあまり認めず、前頭葉を中心とした大脳半球に変性が継時的に徐々に広がっていることが判明した。 バイオマーカーとして、これらの指標を用いるためには、従来から変性が強いと考えられている小脳や脳幹などの変性を測定するよりも、大脳半球、特に前頭葉を測定した方がよいことが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
17名の多系統萎縮症患者を登録し、全例予定通り登録時、半年後、1年後、1年半後に臨床情報、頭部MRI情報を得ることができた。これまでの解析で、volumetry、fractional anisotropy(FA)、mean diffusivity(MD)は継時的に多系統萎縮症患者の脳変性の広がりをとらえることができているため。
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今後の研究の推進方策 |
24年度は登録時から2年後の臨床情報、頭部MRIを得る予定である。 2年後のデータが得られたところで、臨床情報と頭部MRIを解析し、バイオマーカーとして使用するために最適な指標、解剖学的位置を検討する。 これらの検討結果が得られた時点で論文化し、研究結果を公表する予定である。 現在のところ、特に研究遂行にあたり問題点は生じておらず、対象患者からも好意的な意見を得ている。
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