研究概要 |
ダイナミン様蛋白質であるDRP1のS-ニトロシル化が生体内においてもミトコンドリアの過剰な分裂を引き起こすか否か、それによる樹状突起や神経細胞本体、周囲グリア(アストロサイト、オリゴデンドロサイト)にどのような変化が生じるかを観察することにより、アルツハイマー病の原因、治療を模索する。この目的のために、B6;129-Psen1^<tmlMpm> Tg(APPSwe,tauP301L)1Lfa/Jを導入し繁殖させた。ELISA法によるAβ1-42、タウタンパク、リン酸化タンパクの測定、MRIによる軸索輸送の計測、MRSによる脳の生化学的変化測定を行っている。Mgを用いた軸索輸送の計測では、Tgマウスは野生型と比べて軸索輸送に問題があることが判明した。現在、これにともなうタウ蛋白、神経細胞内アミロイドとの関係を研究中である。MRSは、グルタミンとグルタミン酸の脳内濃度を分離計測する方法をシムレーションにより算出し、Tg、野生型それぞれを経時的にvivoで計測中である。NAA、myo-inositolもあわせて測定している。 今後、慢性的なNO負荷を行い、DRP1のS-ニトロシル化の導入がin vivoで可能であるか、可能であった場合の神経細胞のミトコンドリアに生じる変化を、形態学的、生理的、生化学的に観察することにより、アルツハイマー病における神経細胞の変性の原因を究明するとともに治療法を模索する予定である。
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