研究概要 |
血液脳関門障害を伴う血管性認知症の治療目的のため、オステオポンチン治療に併用予定のアンギオテンシン受容体の阻害剤(ARB)の効果を検討したところ、高血圧ラットや一過性脳虚血モデル動物にて有効性が示された(J Hypertens 2011; Hypertens Res 2012)。 また、血管性認知症の新規増悪因子を検討していく中で、血管性認知症モデル動物の血液脳関門障害血管で発現が亢進しており、血管性認知症の治療のためのターゲットになりうる分子として、新たにCD36を指摘することができ(Neuropathol Appl Neurobiol 2011; Transporters in the blood-brain barrier, Alzheimer's Disease Pathogenesis, 2011)、さらに、酸化ストレス亢進状態にある老化促進モデルマウスSAMP8脳において、そのCD36の発現が増加しており、記憶学障害とCD36発現亢進との間になんらかの関係があるものと推測された(Arch Gerontol Geriatr 2013; The Senescence-Acclerated Mouse (SAM): Achievements and Future Directions, Chapter 14, 2012)。 これらのことより、血管性認知症治療目的のためには、オステオポンチン投与に併用するものとして、ARBのみならずCD36やLDL受容体の発現の調節を可能にする薬剤が候補に挙がる可能性が考えられた。
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