研究課題
進行性核上性麻痺(以下PSP)は、元々病理学的に抽出された疾患であるが、Steel-Richardson-Olszewskiにより、PDとの差が強調された疾患概念の提出がなされた結果、中核像と呼ばれるものからはずれる症例が存在する。主任研究者は、前任地における高齢者連続剖検例を対象とした後方視的検討と、現在の勤務地および生前同意ブレインバンク登録者の病理解剖により、症例の蓄積と解析を行った。当初PDと臨床診断された症例中に、PSPが一定数存在すること、純粋無動と診断された症例で、神経病理学的PSP群が存在すること、臨床的に皮質基底核変性症(CBD)と診断された症例(PSP-CBD)、進行性非流暢性失語(PNFA)と診断された症例(PSP-PNFA)も含まれていることが明かとなった。さらにもの忘れ外来からの、アルツハイマー病(AD)あるいはレビー小体型認知症(DLB)と誤診されるPSPの一群(PSP-SD : senile dementia)も一定数存在する。また、小脳症状を主体とし、脊髄小脳変性症(SCA)と診断される一群(PSP-SCA)も一定数存在する。今年度は長期経過観察を行い得た純粋無動症、進行性非流暢性失語(PNFA)類似のRichardson症候群、PSP-SCAの新規例も蓄積された。これらの解析を続ける。また、高感度のRD4免疫染色によるスクリーニングにより、後方視的および前方視的にPSPの初期変化とみなされる変化を来す例の解析が進んだ。初期病変は症例によって部位差があり、レビー小体病、嗜銀顆粒性疾患、アルツハイマー病とはことなる病変進展形式をとると考えられた。今後、ブレインバンクのネットワークを通じて、亜系の頻度や生前画像解析、バイオマーカー解析を行い、臨床診断につなげたい。
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