研究課題
今回の研究計画で我々は、脂肪組織マクロファージとインターロイキン10による代謝調節機能に関して、次の3点に注目して検討を進めてきた。まず(1)「IL-10が全身および末梢組織の代謝に与える影響」に関して平成22年度には、アデノウイルスベクターをもちいたIL-10の過剰発現が肥満マウスの耐糖能を改善すること、その機序のひとつとして骨格筋のミトコンドリア機能関連遺伝子の発現増強が関与していることを見出し、学会にて報告してきた。現在論文を作成中である。(2)「中枢神経のSTAT3シグナルの活性化が摂食と体重に与える影響」に関しては、IL-10同様にSTAT3活性化作用を持つレプチンおよびIL-6、CNTF、LIFを中枢投与し比較検討した。強い摂食抑制や体重減少効果を持つのはIL-6とレプチンであり、STAT3のリン酸化は視床下部の弓状核、腹内側核など核に限局した染色パターンを示すことが分かった。一方、IL-10はCNTFやLIFと同様に視床下部のSTAT3のリン酸化はびまん性であり、これが強い摂食抑制作用を持たないことに関連していると考えられた。結果を日本糖尿病学会のシンポジウム他で発表した。(3)「代謝調節におけるM2マクロファージのアブレーションマウスの作成と解析」に関しては、マウスの作成が終了した。このマウスにジフテリアトキシンを投与することによりM2マクロファージが選択的に欠失されることが期待される。平成22年度はこのマウスの繁殖と、ジフテリアトキシンの適正な投与方法の決定をおこなった。平成23年度以降は、糖代謝、インスリンシグナル、組織における遺伝子発現の解析などを通じ、M2マクロファージが代謝に与える影響とその機序を網羅的に解明していく予定である。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (7件)
Endochnology
巻: 152(5) ページ: 1789-1799
Biochem Biophys Res Commun
巻: 391(4) ページ: 1731-1736
The Open Diabctcs Journal
巻: 3 ページ: 14-21