研究概要 |
糖尿病等で惹起される酸化ストレスは、心筋梗塞発症に重要な役割を担う。われわれは、酸化ストレスに関連する5つの遺伝子多型に注目し、これらの遺伝子多型が心筋梗塞に及ぼす影響について横断的に検討した。 3819人の日本人2型糖尿病患者(男性60.8%、平均年齢60.6歳)を対象に、酸化ストレスに関連する5つの機能的な遺伝子多型(glutamate-cysteine ligase modifier subunit (GCLM) C-588T, manganese superoxide dismutase (SOD2) Val16Ala, endothelial nitric oxide synthase (NOS3) G894T, NAD (P) H oxidase p22phox (CYBA) C242T, myeloperoxidase (MPO) G-463A)と心筋梗塞との関連を評価した。 各多型は単独では心筋梗塞と有意な関連はなかった。一方、酸化ストレスを促進させるアレル(pro-oxidant allele)を多く有する患者ほど心筋梗塞の有病率が高かった(p for trend=0.018)。古典的危険因子を調整しても、保有するpro- oxidant alleleの総数が心筋梗塞の独立した説明因子であった(オッズ比=1.16, 95%CI 1.01-1.34, p=0.034)。 上記の結果から、2型糖尿病患者において、酸化ストレスに関連する5つの遺伝子多型の集積は、心筋梗塞と関連すること、心筋梗塞のリスク評価にはこれらの遺伝子多型の集積効果を評価すべきことの有用性が示唆される。
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