研究課題/領域番号 |
22590993
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
石田 均 杏林大学, 医学部, 教授 (80212893)
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研究分担者 |
永松 信哉 杏林大学, 医学部, 教授 (80231489)
吉元 勝彦 杏林大学, 医学部, 講師 (20271257)
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キーワード | 2型糖尿病 / 膵β細胞 / インスリン分泌 / 脂肪細胞 / マクロファージ / アンカップリング |
研究概要 |
2型糖尿病の発症に重要な役割を果たしている膵β細胞からのインスリン分泌不全の成因の1つとして、糖尿病状態下に膵ラ氏島に浸潤するマクロファージの関与が考えられている。したがって、この浸潤を抑制することが、2型糖尿病発症の予防やその病態の進展阻止に重要であると推測される。私達の今までの検討において、膵ラ氏島へのマクロファージ浸潤に関与する chemokine の 1 つであるmonocyte chemoattractant protein 1 (MCP-1)が膵β細胞株のMIN6細胞に発現しており、また細胞からのMCP-1の放出が高濃度のグルコースあるいは飽和脂肪酸のパルミチン酸の存在下に増大することが明らかとなっている。そこでこのMCP-1放出を抑制する手段を検索する目的で、膵β細胞と同程度に強くMCP-1を発現していることが知られている脂肪細胞を用いて、以下の予備的な検討を加えた。分化誘遵した 3T3L1 脂肪細胞に、ミトコンドリア内の酸化的リン酸化反応に対する uncoupler の dinitrophenol (DNP) により、人為的にmetabolic uncoupling を導入したところ、細胞からのMCP-1 放出の有意な抑制が認められた。なおこの条件下では内因性の酸化ストレスの増大は生じなかったものの、一方で小胞体ストレスの増大とAMP-activated protein kinase(AMPK) の活性化が認められた。さらに脂肪細胞でのAMPK活性化を介してMCP・1放出力を抑制されること、そしてこの機序の少なくとも一部にはJNK活性化の抑制が関与している事実が示された。したがって、同様の機序が膵β細胞においても作動している可能性が考えられることから、とくにAMPK活性化がMCP-1放出抑制に果たす機序や、他の炎症性サイトカイン放出への影響とその機序の詳細について、今後MIN6細胞や単離膵ラ氏島を用いて検討する予定である。
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