研究課題/領域番号 |
22590994
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
島田 朗 慶應義塾大学, 医学部, 講師(非常勤) (60206167)
|
キーワード | 1型糖尿病 / 免疫制御性T細胞 / ケモカイン |
研究概要 |
NODマウスにCY(サイクロフォスファミド)を投与する発症促進システムにおいて、Hybrid Tregを移入することによって、糖尿病発症を抑制するかどうかを検討した。この際、免疫制御性T細胞の細胞表面マーカーとしてCD25を使用し、CD25陽性CD4陽性細胞分画を免疫制御性細胞として扱った。NODマウスからCD25陽性CD4細胞(Hybrid Tregを含む分画)とCXCR3ノックアウトNODマウスからCD25陽性CD4細胞(これらは全てCXCR3陰性)とをソートアウトし、それぞれ、CYを投与したNODマウスへ細胞移入し、糖尿病発症に与える影響を検討した。CY投与11日目の時点で、NODマウスからのCD25陽性CD4細胞移入群では、全く発症がなかったのに対して、CXCR3ノックアウトNODマウスからCD25陽性CD4細胞移入群では、30%に発症を認め、発症率にも有意な差を認めた。したがって、糖尿病発症抑制には、Hybrid Tregの存在が必要であることが示された。次に、NODマウスならびにCXCR3ノックアウトNODマウス由来のCD25陽性CD4細胞を抗原提示細胞とともに膵島関連の自己抗原(GAD(グルタミン酸脱炭酸酵素)、インスリンペプチド)および、対照として無関係の抗原にて刺激し、その抗原特異性を検討した。Preliminaryな検討では、NODマウス由来のCD25陽性CD4細胞は、GADに対してIL-10を産生することが示唆された。さらに、膵島抗原特異的Hybrid Treg同定のため、フローサイトメーターにて膵島抗原に反応した細胞のみをソートアウトして、そのT細胞受容体の同定を試みており、Valfa2に着目して検討中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度最大の目標であったHybrid Tregによる糖尿病発症抑制が、in vivoの系において示されたことから、順調に進展していると判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、Hybrid Tregの膵島抗原特異的丁細胞機能の検討が主たるものになる。その抗原特異的T細胞反応の検出には、従来、細胞内サイトカイン染色のシステムを用いてきた。しかしながら、このシステムの限界は、一度に多くの反応性を検討することが困難であり、非常に多くの時間を要することである。そこで、現在、ELISPOT法のシステムを導入しつつあり、これを主体に抗原特異的反応性を検討する予定である。ELISPOT法で多くのペプチドに対する反応をスクリーニングし、絞られたペプチドで再度、細胞内サイトカインのシステムに戻すことを計画している。
|