2型糖尿病の疾患感受性遺伝子として知られる SLC30A8 の機能解析を行なった。SLC30A8/ZnT8 欠損マウスはコントロールマウスに比し、耐糖能の低下と糖負荷時の末梢血インスリンレベルの低下を認めた。 一方、単離膵島からのインスリン分泌は ZnT8 欠損マウスにおいてコントロールマウスよりも高値を示し、両者で逆の結果を得た。その理由としてZnT8 欠損マウスでは肝でのインスリンクリアランスが食後に抑制されないことが原因であることが示された。そのメカニズムの解析を行ったところ、インスリン分泌に同期して亜鉛がβ細胞から門脈を介して肝臓に流入するが、この亜鉛イオンが肝細胞へのインスリンのendocytosis を抑制することが肝でのインスリン分解抑制のメカニズムであることが明らかとなった。 ZnT8 欠損マウスおよび SLC30A8 のリスクアレルを有するヒトにはその調節異常が存在することが明らかとなった。
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