研究概要 |
我々が作成した脂肪組織特異的ペリリピン過剰発現マススは高脂肪食を負荷しても肥満になりにくい。白色脂肪組織内に褐色脂肪特異的蛋白UCP1が異所性に発現していたことから、その脂肪の縮小化は白色脂肪の褐色化によるエネルギー消費亢進にともなう二次的な現象(結果)として当初は考えていたが、3T3-L1培養脂肪細胞のペリリピンの発現量を増加させるだけで脂肪滴が劇的に縮小化することから、過剰ペリリピンによる脂肪萎縮は直接的作用(原因)でもあることが確認された。ペリリピンの増加によって、別の脂肪滴周囲蛋白で小さな脂肪滴を単房性に融合する蛋白であるFSP27が減少することがその直接的機序として想定され、また、ペリリピンの増加やFSP27の減少といった脂肪滴周囲構成蛋白の発現変化、脂肪滴サイズ縮小化といった脂肪貯留環境変化が、白色脂肪誘導化因子RIP140の減少や褐色脂肪誘導化因子PGC1αの増加を来たし、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の運命づけに関与しているということを示した。これらの結果について、国内外の学会で報告し、雑誌J Lipid ResとPLoS Oneなどで発表した。 また,動脈硬化粥腫内マクロファージ泡沫化細胞内でのペリリピンの役割を解明するために、市内協力施設から頸動脈剥離術後の切除プラーク検体50例の回収を終えた。安定プラークと不安定プラークに分けて現在解析を行っており、並行してヒト末梢血単球由来Mφの初代培養の中で,Mφ脂肪滴貯留(泡沫化細胞形成)における機序解明にむけた検討を行っている。
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