研究課題/領域番号 |
22591000
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大濱 透 大阪大学, 保健センター, 助教 (20467583)
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研究分担者 |
山下 静也 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (60243242)
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キーワード | プログラニュリン / HDL / 動脈硬化 / 痴呆 |
研究概要 |
我々は、ヒトマクロファージ培養上清からアポAl結合蛋白としてプログラニュリン(PGRN)を同定して報告したが、その機能についてPGRNノックアウト(KO)マウスを用いて検討した。PGRNは糖代謝、脂質代謝に大きな影響を及ぼしているばかりでなく、高脂肪食負荷PGRN-KOマウスは易動脈硬化であることを併せて見出し、現在論文準備中である。また、PGRNは炎症に対して抑制的に働くことも知られているが、我々は済生会千里病院との共同研究で、急性冠症候群(ACS)患者における血中PGRN濃度の推移を調べたところ、現段階で急性期には有意に血中濃度は低下しており、さらにculprit lesion近くではさらに濃度低値を示していたことから、全身または局所の炎症により、PGRNがプロテアーゼで分解されることにより、プラークの安定性に影響しているのではないかと考え、さらにNを増やすと共に、コントロールの採血を現在行っているところである。また、PGRN変異により、前頭葉側頭葉型変性症(FTLD)が発症するとされているが、PGRN-KOマウスで得られた知見が実際ヒトでどのような表現型を示すのか検討するために、当初阪大精神科との共同研究でPGRN変異患者を探そうと計画した。しかし、その後の海外での報告により、もう少し母集団を増やして行った方がいいのではないかと考え、熊本大学精神神経科及び関連施設にも協力していただき、さらに最近アルツハイマー型痴呆(AD)患者にも同様にPGRN変異を認める症例があることが報告されているため、FTLDに加えてAD患者も加えて現在、改めて倫理委員会申請中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスを用いた代謝、動脈硬化についての検討は予想以上の知見を得られており、またACSにおけるPGRNの役割に関するデータも予想通りである。しかし、FTLD患者が少なく、またその中でもPGRN変異のある確率の問題からスキームを変更した分、このテーマに関してはやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
アポA1結合蛋白としてのPGRNと痴呆との関連についての臨床研究については、既述のようにFTLDに加え、AD患者をPGRN変異の可能性のある集団として母集団に入れて、さらにこのような患者を多く見ておられる他施設にもご協力いただき、進めていくことになった。
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