研究課題
自治医科大学健診センターにおいて健診受診者からインフォームド・コンセントを取得したのち、末梢血からゲノムDNAを、平成22年度までに約3000例収集した。研究に同意を得られた参加者からは、健診で得られる血液データや生活習慣のデータに加え、X線を用いない完全非侵襲型の測定器を用いて内臓脂肪の蓄積データを取得した。内臓脂肪蓄積レベルに関連する遺伝子を検索した結果、TRIB2の遺伝子多型が強く関連することを発見し報告した。TRIB2は、キナーゼ様ドメインを持つシグナルモジュレーターであり、メカニズムはこれからの課題であるが、その後の報告でも心外膜の脂肪蓄積と強く関連することが明らかにされており、何らかのメカニズムで内臓脂肪蓄積を制御していると思われる。また、他民族における解析によって、内臓脂肪蓄積に働くリスクアレルは東アジア集団に高頻度であり、周辺の多型と合わせて考えると、正の自然選択が行われた可能性が示唆された。また、欧米人におけるGWASで同定された脂質関連新規遺伝子TRIB1の機能的解析をアデノウイルスベクター導入マウスを用いて行った結果、肝臓における過剰発現は、マウス血清TG、コレステロール、血糖値の低下をもたらすことが明らかになるとともに、肝臓における脂質とグリコーゲンの蓄積にも関与することが明らかになった。さらに、肝臓トランスクリプトーム解析を行った結果、脂質合成、解糖系、ならびにグリコーゲン合成に関わる遺伝子群の有意な発現変化を認めた。そして、それに関わる転写因子とMAPキナーゼ系シグナル伝達分子群タンパクの発現変化を明らかにした。また、ChREBPの発現変化はTRIB1タンパクとの分子間相互作用の結果であることが初めて明らかになった。この成果については、現在投稿中である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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