研究課題
現在、本邦における高血圧患者は4,000万人と推定されるが、そのうち血圧が良好にコントロールされているのは1,000万人で、他の3,000万人は治療抵抗性高血圧を含むコントロール不良群と考えられる。アルドステロンは昇圧に関与する最も重要なホルモンの一つであり、その上昇が治療抵抗性高血圧の一因と考えられている。さらに近年、メタボリック症候群患者における治療抵抗性高血圧の要因として、内臓脂肪細胞由来の未知の液性因子の副腎刺激によるアルドステロン分泌亢進が推定されている。本研究では、これらの背景を踏まえ、アルドステロン合成酵素CYP11B2の発現調節をターゲットとした新規降圧療法の開発を目的としている。当該年度に我々は以下の点を明らかにした。1)RXRアゴニストであるHX630は、PPARγアゴニスト同様にCYP11B2の発現抑制を誘導し、両者の併用によりCYP11B2の更なる転写抑制が招来される事が明らかとなった。2)PPARγアゴニストは、Nurr1・NGFIB過剰発現に伴うCYP11B2転写亢進ならびにアンジオテンシンII誘導性のNurr1・NGFIB発現亢進に対して影響を及ぼさなかったことから、PPARγによるCYP11B2遺伝子転写抑制は、Nurr1・NGFIB非依存性であると考えられた。3)CYP11B2プロモーター領域をpGL4.15に組み込んだ後にヒト副腎H295R細胞にトランスフェクションを行い、ハイグロマイシンでセレクションを行うことにより、CYP11B2/ルシフェラーゼの安定発現株を得た。本安定発現株は、一過性発現系に比してアンジオテンシンII・KClに対する反応性が著明に亢進しており、今後の新規降圧薬のスクリーニングに適した系であると考えられた。これらの結果を踏まえて、今後は脂肪細胞由来の新規液性因子の同定ならびに新規薬剤の開発を進めて行く。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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