研究課題
線維芽細胞増殖因子受容体III型(FGFR3)の恒常活性型遺伝子異常が原因である軟骨無形成症では、内軟骨性骨化が障害され、四肢短縮型の小人症となる。我々は軟骨無形成症のモデルマウスにおいて、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)が低身長改善に有効であることを報告してきた。ヒトの軟骨無形成症における低身長に対しても、CNPは新たな治療薬となる可能性があり、患者由来の細胞でその効果を確認することが出来れば、臨床応用に向けてさらに大きな前進となる。そこで本研究では、軟骨無形成症患者由来iPS細胞を樹立し、CNPの有効性についてin vitroで評価する系の確立を目的としてきた。これまでの検討により、本研究の最も基盤となるヒトiPS細胞から軟骨細胞へのin vitroにおける分化誘導法について確立し、論文発表することが出来た(Stem Cells Dev. 2013 Jan 1;22(1):102-13.)。また、我々が低身長に対する治療薬として臨床応用を目指しているCNPをこの分化誘導系に添加すると、ヒトiPS細胞から軟骨細胞への分化が促進される傾向を示すことも確認出来た。さらに、軟骨無形成症患者の皮膚組織からiPS細胞を樹立することにも成功した。本年度は、CNPの低身長改善効果のメカニズムについてさらに検討するため、健常者由来iPS細胞の軟骨細胞分化に及ぼすCNPの作用についても解析を進めており、また軟骨無形成症患者由来iPS細胞におけるCNPの作用を適切に評価するためのバイオマーカーについても検討中である。本研究において軟骨無形成症患者からiPS細胞を樹立したことにより、初めて患者細胞を用いて、CNPの効果を検討することが可能になった。この評価系を確立することが出来れば、今後低身長をきたす他の骨系統疾患や他の薬剤にもこの系の応用が可能となり、非常に意義は大きい。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Stem Cells Dev.
巻: 22(1) ページ: 102-113
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http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~med2/index-jp.html