研究課題
GTP結合蛋白Rhoの標的分子であるRho-kinaseの肥満発症における意義を検討した。[方法](1)AP-2プロモーターを用い脂肪細胞特異的にDominant Negative Rho A遺伝子を過剰発現させRho-kinase活性を抑制したマウスを作製した。DNマウス(DN)とwild typeマウス(WT)に高脂肪食を12週間投与し表現型を比較検討した。(2)3T3-L1細胞を成熟脂肪細胞へ分化させた後、細胞に機械的伸展刺激を加えRho-kinaseの活性化およびその下流のストレスファイバー形成を免疫蛍光染色で検討した。[結果](1)DNはWTと比較し高脂肪食による体重増加が有意に抑制された。さらに、DNはWTと比較し脂肪組織における脂肪細胞面積およびマクロファージ浸潤の減少、MCP-1およびTNF-αの発現低下、Adiponectinの発現上昇が認められた。血圧に有意差は認められなかったが、DNではWTで認められた糖負荷試験の異常が改善した。(2)成熟脂肪細胞へ分化させた3T3-L1細胞は、肥大化に伴いRho-kinaseの活性化を認め、MCP-1およびTNF-αの発現上昇、Adiponectinの発現低下を認めた。成熟脂肪細胞に伸展刺激を加えるとRho-kinaseが活性化し、ストレスファイバーの発現亢進が認められた。[結論]脂肪細胞におけるRho-kinaseは脂肪細胞の肥大化に伴う機械的伸展刺激で活性化し、脂肪組織におけるアディポサイトカインの発現変化およびマクロファージの浸潤を引き起こすことで肥満発症の病態に関与していることが示唆された。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
Science Signaling
巻: 4(157) ページ: 1-10