研究課題/領域番号 |
22591023
|
研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
佐々木 一樹 独立行政法人国立循環器病研究センター, 分子薬理部, 室長 (80260313)
|
キーワード | 生理活性ペプチド / 質量分析 / 内分泌学 / 神経内分泌腫瘍 / 視床下部 / 分泌顆粒 / ペプチドミクス |
研究概要 |
内分泌細胞の分泌顆粒内にはペプチドホルモン・神経ペプチドのような生理活性ペプチドが局在し、刺激に応じて細胞外に放出される。内分泌細胞を発生母地とする神経内分泌腫瘍の培養株も機能的な分泌顆粒を有している。本研究では、ヒト由来の神経内分泌腫瘍である膵ソマトスタチン産生腫瘍や、甲状腺カルシトニン産生腫瘍の培養株を用い、脱分極刺激を与えた結果培養上清中に放出されるペプチド類を短時間のうちに回収し(スナップショット解析)、微流速液体クロマトグラフィと高質量精度・高分解能タンデム質量分析計のオンラインシステムを基盤としたペプチドミクスの手法で、ペプチド群の包括的な同定をおこなっている。このような探索で、昨年度発見し、neuroendocrine regulatory peptide-3と命名したペプチドは、ラット中枢神経の室傍核、視索上核に存在するバソプレシン陽性ニューロンが応答性を示し、ラット後葉in vitroの培養系で、このペプチドはバソプレシンの分泌を促すことを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究申請前に研究者が確立しつつあったペプチドミクスの手法を効率的なものに改良し、新しい生理活性ペプチドの発見に成功したため。
|
今後の研究の推進方策 |
スナップショットペプチド解析の方法論をさらに網羅性のあるものへと改良し、解析対象としては、様々な組織に由来する神経内分泌腫瘍株に加えて、正常内分泌細胞をトランスジーン導入で不死化した細胞の解析をおこない、網羅性を高めると同時に、特定の物性をもった画分に焦点をあてた解析で、新規生理活性ペプチドの発見につとめる。
|