骨髄腫は形質細胞由来の腫瘍である。骨髄腫には多彩な遺伝子異常が存在するが、microRNAの異常も存在すると考えられる。microRNAはnoncodingの機能的RNAであり、蛋白翻訳制御をすることにより、腫瘍の病態に密接に関わっていると考えられる。我々は、骨髄腫細胞株と臨床検体を使用して、そのsidepopulationの細胞からRNAを抽出し、非SP細胞と発現比較を行った。するとmiR-181がSP細胞で発現が低下していた。miR-181はポリコーム遺伝子群であるEZH2の発現を制御していることから、その蛋白の発現量を比較してみたところSP細胞で発現が亢進していた。ちなみに、SP細胞はヘキスト33342で染色されない領域で、薬剤は移設能が強い領域であり、同領域には、がん幹細胞が多く含まれている。我々は、骨髄腫のSP領域が、自己複製能、細胞分化能、強い増腫瘍性を示すことを突き止めた。このことによりmiR-181のSPでの発現低下は骨髄腫に増腫瘍性に強く関わると考えている。現段階では、ルシフェラーゼアッセイを用いて、EZH2がmiR-181の直接標的であるかの検討を行っている。また、BZH2に効果のある治療薬を同定する試みも行っており、候補としてはオーロラキナーゼ阻害剤、プロテアソーム阻害剤などがあり、現在SPに対する効果を検討している。また、これらの薬剤がmiR-181にどのような効果を来すかも検討しているところである。さらには、多数の臨床検体でのSP細胞におけるmicroRNAの発現も、網羅的解析により明らかにしつつある。
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