当該年度にはヒトIL-15のシグナルペプチドをIL-2に置換し、発現量の増強が確認されたcDNAをGFP発現NOD/scidトランスジェニックマウス作出時に用いたpUC-CAGGSベクターに組み込みを行いシークエンスにてベクターの完成を確認した。その後、最適化されたマイクロインジェクション法にてトランスジェニックマウスの作出を繰り返したが、サザンブロット法にて陽性のものは1ラインも取ることができず、ゲノムPCRにて陽性と考えられたものが1ラインのみ取得できた。しかし、そのラインにてhIL-15のmRNAの発現はRT-PCRでも検出が出来なかった。GFPコントロールベクターにてトランスジェニックマウスの作成のコントロールを取るも、トランスジェニックマウス作成手法自体に問題は無かった。ヒトIL-15ベクターが自体障害になっている可能性を考え、pUC-CAGGSに加え、pLdの発現ベクターにも同様にヒトIL-15 cDNAを組み込み同様にトランスジェニックマウスの作成を試みるも、サザンブロット法、PCR法両者にて1ラインも得ることが出来なかった。hIL-15が発生期に発現することにより致死的になる可能性が示唆された。今後はトランスジェニックベクターが導入されるゲノム上の位置により、致死的な発現量を回避出来る可能性があるため、引き続き作成を試みると同時に、Tet-on/off、ドキシサイクリン誘導の系など、胎生期を過ぎてからヒトIL-15の発現誘導が可能になる特集なトランスジェニックマウス作成を試みる予定である。
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