1)急性型ATLのマルチカラーFACS(HAS)による解析 今年度はあらたに10例の急性型症例の解析を追加し合計15例での検討を行った。急性型におけるCD3dim/CD7(-)の集団をソーティングしサイトスピン標本を検討した結果、この集団にはflower cellが濃縮されていた。さらにinverse PCRによりmajorなclonal bandが検出され、この集団がATL腫瘍細胞集団と考えられた。本法によるATL細胞検出効率の評価のためTCR Vβ repertoireを解析したところ、この集団は98%以上が同一クローンであり、他の集団はバックグラウンドと同様であったことからHASによるCD3dim/CD7(-)集団の検出は100%近い高純度でATL細胞を濃縮していると考えられた。これら症例を治療経過に伴い継時的に解析したところ病勢を非常によく反映し、治療抵抗性になる症例では早期にCD3dim/CD7(-)集団が増加し、病勢評価の有用なツールとなることが明らかになった。 2)ATL各病型のHASによる解析とハイリスクキャリアの同定 6例のくすぶり型(うち3例皮膚型)、7例の慢性型、33例のキャリアの解析を行い、くすぶり型ではCD3dim/CD7dimの集団が増加し、CD3dim/CD7(-)集団も増加すること、慢性型ではくすぶり型に近いものからCD7(-)の割合が高く急性型に近いパターンを示すものまで存在すること、キャリアでは多くの症例は健常人に近いパターンを示しCD7dim%vs.CD7(-)%の2次元プロットでゾーン分けできることが判明した。キャリアの一部ではくすぶり・慢性型ゾーンに入るものがあり、これらの症例は末血プロウイルス量が高い、異常リンパ球の割合が高いなどハイリスクと考えられる症例で一部はくすぶり型に移行、ハイリスクキャリアの同定に有用な方法となり得ることが示唆された。
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