研究課題
本研究は、血液疾患を含めたさまざまな鉄代謝異常症の病態の理解を深めることと、これらの診断法および治療法の開発を目的として進めてきた。当該年度の主な研究成果は下記の通りである。①鉄代謝調節ホルモンであるヘプシジンのプロモーター活性に影響を与える因子を96wellベースでスクリーニングできるバイオアッセイ・システムを構築した。これに健常者あるいは血液疾患患者の血清を添加すると、一部の患者血清中にヘプシジン発現抑制物質が含まれていることが分かった。また、このシステムを用いて、京都大学薬学研究科の化合物ライブラリーをスクリーニングしたところ、いくつかの化合物にヘプシジン発現抑制活性がみとめられた(投稿準備中)。②蛍光標識したさまざまな種類の遺伝子組み換えフェリチンを用いて、細胞へのフェリチンの取り込み機序についての解析を進めた。健常者の末梢血あるいは骨髄中のさまざまな細胞のなかで、赤芽球系細胞だけが特異的かつ選択的にヒトのH-フェリチンを取り込むことを見いだした。また、H-フェリチンがトランスフェリン受容体1を介して細胞に取り込まれていること、その取り込みはトランスフェリンとは競合しないことなどを見いだした(一部はすでに日本血液学会で発表。投稿準備中)。③骨髄線維症においては、血清中のGDF15が異常に増加している。間葉系幹細胞や線維芽細胞などを用いて、その病態生理学的な意義についての解析を進めている(一部はすでに日本血液学会などで発表。投稿準備中)。④血液腫瘍に対する造血幹細胞移植前の高フェリチン血症が、移植後の予後不良因子であること、急性GVHDの発症頻度には影響を与えなかったが慢性GVHDの発症頻度を減少させて、血液腫瘍の再発を増加させる因子であることを見いだした(Sakamoto, et al. Int J Hematol, 2013)。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Int J Hematol
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http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~hemonc/research/regulation.html