研究課題
悪性腫瘍に対する化学療法・放射線療法の進歩に付随し、治療関連の二次癌として急性骨髄性白血病(AML)や骨髄異形成症候群(MDS)が増加している。本研究計画では、治療関連造血器腫瘍の頻度や遺伝子異常、原因となる薬剤・放射線について解析をおこなってきた。急性前骨髄球性白血病(APL)治癒後の治療関連白血病にRUNX1変異やキメラ遺伝子が関与することを示し、APL治療プロトコール含まれるエトポシドが造血幹細胞に対してゲノム障害を引き起こす可能性を示唆した。そこで本年度は治療関連MDS/AMLを発症させる原因遺伝子異常(RUNX1変異)を導入したヒト造血幹細胞、およびマウスBMTモデルの解析を行った。RUNX1のD171N変異は治療関連MDS/AMLに最も高頻度にみられる変異である。この変異をヒトCD34陽性細胞に導入すると、自己複製能の亢進、分化抑制、3血球系の異形成、未分化性が認められるが、増殖能は欠いていた。この細胞ではBMI1が低発現であったが、RUNX1変異を有するMDS患者のCD34陽性細胞では、BMI1高発現であったことから、両者の協調作用を検討した。D171N変異とBMI1の共発現により、ヒトCD34陽性細胞、マウスモデル共に増殖性の亢進が認められた。また、D171N変異を導入したCD34陽性細胞に後からBMI1を導入すると、高リスクMDS様の芽球増加を伴う緩やかな細胞増殖が認められた。以上のことから、BMI1がRUNX1変異と協調して治療関連MDS/AML発症に関わることが示された。以上の結果を学会で報告し、学術誌への投稿を行った。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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