研究課題
ETSファミリーに属し転写活性能を持つMEFと急性骨髄性白血病(AML)で最も高頻度に変異の見られるNPM1遺伝子産物との相互作用を調べてきたが、これまでの検討によって(1)両蛋白質が結合すること、(2)NPM1変異によって細胞内でMEFの転写活性能が上昇すること、(3)変異NPM1蛋白は核内から細胞質に局在を変えるが、NPM1変異の有無にかかわらずMEFは核内に局在すること、が明らかとなった。本年度はこれをさらに発展させ、MEFの標的プロモーターの転写活性とNPM1変異との関連を検討した。プロモーター領域の塩基配列の検討や、マウスでの実験結果より、TP53発現調節に関わるHDM2のプロモーターがMEFの標的である可能性が出てきた。そこで、野生型と人工的な変異結合配列を導入したHDM2プロモーターを持つ二種類のルシフェラーゼレポーターを作製した。これを用いたルシフェラーゼアッセイによりMEFによって結合配列特異的に転写活性が上昇することを確認した。さらに、HDM2プロモーターとMEF蛋白質を用いたChIP法にてHDM2プロモーター上へのMEFの結合を確認した。また、NPM1または変異型NPM1を導入した実験より、変異NPM1はHDM2プロモーター上にMEFをより多く導入する(結合を促進する)ことでHDM2プロモーターの転写活性を上昇させていることが明らかとなった。これらの実験結果より、MEFはNPM1変異によってその転写活性が上昇すること、HDM2プロモーターがMEFの標的の一つであること、その転写活性もNPM1変異で上昇することが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
MEFとNPM1変異の関係を、細胞実験レベルで解明できており、十分な結果が得られている。
臨床検体を用いた実験・検討を実施する必要がある。
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