研究概要 |
1.平成22年度の研究において低酸素環境下(1%酸素濃度)で抗癌剤(Daunorubichn, Idarubicin, Cytosinearabinoside)に対して耐性を示したAML細胞株(K562,U937,Meg-01,CHRF-288,SET-2)及びAML患者由来の新鮮白血病細胞(患者5例)に対して、平成23年度には上記抗癌剤と低酸素選択的薬剤であるTirapazamineを併用添加して培養したところ、全てのAML細胞で1%酸素濃度と20%酸素濃度におけるIC50が同等となる事を明らかにした。即ち、Tirapazamineは低酸素環境下での抗癌剤耐性を解除する事を明らかにした。 2.上記のAML細胞株及び患者由来AML細胞を1%酸素濃度あるいは20%酸素濃度の培養環境でフィブロネクチン(FN)コーティングプレートあるいはBSAコーティングプレートで培養すると、全てのAML細胞においてFNプレートのIC50がBSAプレートのそれに比べて高値を示す事を明らかにした。更に、FNプレートに限定すると1%酸素濃度の方が20%酸素濃度に比べてIC50が高値を示す事,この実験系にTirapazamineを添加するとIC50は同等となる事を明らかにした。更に、この現象はFNプレートの代わりに健常人ボランティア由来の骨髄ストローマ細胞を張り付けたプレートを用いた場合にも認められた。即ち、低酸素下では細胞接着依存性抗癌剤耐性(CAM-DR)が増強する事を明らかにした。
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