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2011 年度 実績報告書

接着耐性を利用した骨髄腫幹細胞の同定と臨床応用

研究課題

研究課題/領域番号 22591047
研究機関自治医科大学

研究代表者

古川 雄祐  自治医科大学, 医学部, 教授 (00199431)

キーワード癌 / 遺伝子 / 発現制御 / 移植・再生医療
研究概要

多発性骨髄腫の治療成績の向上を目的として、骨髄腫幹細胞の同定とその薬剤耐性のメカニズムの解明を試みた。今年度は以下を明らかにした。
1)骨髄腫幹細胞はCD49d/CD29複合体(VLA-4)を発現しており、この複合体を介する骨髄間質細胞との接着が細胞周期停止と抗がん剤耐性に重要な役割を果たしている。siRNAを用いてCD49d発現を低下させると、ストローマ細胞存在下における骨髄腫の抗がん剤感受性が亢進した。またプロテアソーム阻害剤であるボルテゾミブは、CD49d発現を低下させ、骨髄腫細胞の抗がん剤感受性を亢進させた。
2)骨髄腫幹細胞はCD49d陽性・CD138陰性をマーカーとしてenrichすることが可能と考えられる。骨髄腫細胞株ならびに臨床検体からこの分画をソーティングし、NOGマウスに移植して定着を確認しているところである。同時にこの分画に特異的に発現する遺伝子をDNA arrayにてスクリーニングし、骨髄腫幹細胞に特異的に発現する分子の同定を試みている。
3)骨髄腫幹細胞はヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)を強発現しており、HDACを介するクロマチン構造の安定化が抗がん剤耐性に関与していることを明らかにした。ボルテゾミブは骨髄腫細胞におけるHDAC発現を転写レベルで抑制し、細胞死を誘導することがわかった。またこの効果はHDAC阻害剤の併用によって増強された。この結果に基づき、ボルテゾミブとHDAC阻害剤の併用効果をマウス・モデルにて確認した。両剤の組み合せは、骨髄腫幹細胞のターゲティングに有効と考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の目的どおりに骨髄腫の薬剤抵抗性の分子メカニズムを明らかにしつつあり、骨髄腫幹細胞を標的とする可能性のある新規薬剤を組み合わせて、高い治療効果が得られることをマウス・モデルにて確認できたことは大きな進捗と考える。

今後の研究の推進方策

骨髄腫幹細胞を含むと考えられるfractionをNOGマウスに移植しても定着が得られないことが最大の問題点である。骨髄内への直接の移植やウサギ骨片を用いる方法などを導入し、移植効率の改善を図りたい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Histone deacetylase 1 enhances microRNA processing via deacetylation of DGCR82012

    • 著者名/発表者名
      Wada T, Kikuchi J, Furukawa Y
    • 雑誌名

      EMBO Reports

      巻: 13 ページ: 142-149

    • DOI

      10.1038/embor.2011.247

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Latexin regulates the abundance of multiple cellular proteins in hematopoietic stem cells2012

    • 著者名/発表者名
      Mitsunaga K, Kikuchi J, Wada T, Furukawa Y
    • 雑誌名

      Journal of Cellular Physiology

      巻: 227 ページ: 1138-1147

    • DOI

      10.1002/jcp.22834

    • 査読あり
  • [学会発表] Multiple myeloma : Introduction of novel drugs with unique mechanisms of action to overcome drug resistance2011

    • 著者名/発表者名
      古川雄祐
    • 学会等名
      第9回日本臨床腫瘍学会学術総会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2011-07-21
  • [備考]

    • URL

      http://www.jichi.ac.jp/stem/index.html

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公開日: 2013-06-26  

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