研究概要 |
マイクロアレイによる遺伝子発現profilingを行いマウス造血幹細胞にMLL/AF4遺伝子を導入することによりS100A-Calcium binding protein familyの一つで細胞増殖に関与するS100A6が発現を亢進させていることを明らかにした。更に我々はS100A6がどのようにMLL/AF4陽性ALLの予後不良に関与しているかを検討し、通常造血幹細胞移植の後起こるドナー由来のT細胞によるレシピエント由来の残存白血病に対する攻撃(GVL効果)がMLL/AF4陽性ALL白血病細胞が特異的に抵抗性を示すことを突き止めた。その原因にMLL/AF4陽性ALLではGVL効果の主体となるTNFαに反応してS100A6活性が上昇してP53のアセチル化を阻害し、アポトーシスの出現を免れていることを発見し報告した。 S100A6が予後不良のMLL/AF4陽性ALLにおける分子標的薬でのターゲットでなりうるのかをヒト末梢血単核球を移植しヒト由来TNFαを分泌出来るSCIDマウスに長期安定してS100A6発現を抑えたMLL/AF4陽性ALL細胞とコントロールのMLL/AF4陽性ALL細胞を別々に移植し、ヒトTNFαによってS100A6発現を抑えたMLL/AF4陽性ALL細胞を駆逐できることをMLL/AF4陽性ALL細胞株にて証明し発表した。(日本血液学会総会2012年)以上の我々の結果よりS100A6を抑制することによってGVL効果をin vivoモデルにおいて検討し最終的にS100A6が新たな分子標的薬のターゲットとなりうるか検討した。IL24を発言したAAV8をMLL/AF4陽性白血病細胞を植え込んだモデルマウスにIL24発現AAV8ベクターを導入しマウスに発現させるとMLL/AF4陽性白血病細胞を消褪させるさせる効果を得た(Blood 2012 119, 64-71)
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