研究概要 |
本研究において、臍帯血からNK細胞を培養増幅するために様々な検討を行いました。その結果、最終的にはNK細胞を約1,000倍に増幅し得る培養系を開発することができました。またこのようにして培養増幅したNK細胞は患者白血病細胞に対して強い細胞障害活性を有することが確認されました。このような成果をもとにヒトNK細胞培養増幅に関する特許出願をすることができました。またその成果を英文誌に発表致しました(特願2011-140504; Tanaka J et al, Leukemia 26:1149-1152, 2012; Blood 119:6175-6176,2012)。 このように臍帯血からの活性化NK細胞の培養増幅に世界で初めて成功し特許出願するとともに、2012年にLeukemia誌、Blood誌に相次いで報告しています。従来は培養増幅が困難と考えられていた活性化NK細胞を患者末梢血などから効率的に増幅させて臨床応用を目指している本研究は国内外においても極めて独創的であります。 また、活性化NK細胞療法が臨床応用可能となればがんや白血病患者さんに対して新しい治療法が提供できることになりその意義は極めて大きいものと考えられます。これらをふまえて、今後は患者末梢血よりNK細胞を培養増幅すると共に活性化し得るGMPグレードの大量培養方法を検討し、活性化培養増幅NK細胞を利用する白血病やがんに対する新しい細胞療法の臨床応用の基盤整備を試みる予定です。
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