von Willebrand因子(VWF)の多機能性はドメイン構造を利用することで実現されているが、VWFのノックアウトマウスでは各機能モジュールの生体機能における役割を知ることは難しい。本研究ではVWFのGPIb結合能のみを欠落させたノックインマウスVWFK1362AとVWFノックアウトマウスを交配・組み合わせ、さらに野生種CAST/Eiバックグラウンド化することにより、GPIb結合機能とその他の機能を直接生体内で分離、量的調節を試みた。VWFK1362Aは著明な出血傾向を呈し、A1ドメイン結合能力を欠くことが止血において重要であることが強く示唆された。またCAST/Eiと交配させることにより、VWF血中濃度は著系に上昇し、この系においてVWF量を調節できることが判明した。VWF-/-マウスとVWFK1362Aの交配によりVWF-/K1362Aを得たが、不妊傾向と喰殺により交配計画に遅延が発生した。今後死亡成体が現れれば臓器出血の有無を検討することにより、止血におけるVWFの相対的重要性が確認されると思われる。
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