ノックインマウスを用いたVWFのドメイン機能の分離による生体内機能の解析

2012 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 22591059
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 血液内科学
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 松下 正 名古屋大学, 医学部附属病院, 教授 (30314008)
• 研究期間 (年度): 2010 – 2012
• キーワード: 血友病 / von Willebrand病 / von Willebrand因子 / 第VIII因子 / ADAMTS13

研究概要

von Willebrand因子(VWF)の多機能性はドメイン構造を利用することで実現されているが、VWFのノックアウトマウスでは各機能モジュールの生体機能における役割を知ることは難しい。本研究ではVWFのGPIb結合能のみを欠落させたノックインマウスVWFK1362AとVWFノックアウトマウスを交配・組み合わせ、さらに野生種CAST/Eiバックグラウンド化することにより、GPIb結合機能とその他の機能を直接生体内で分離、量的調節を試みた。VWFK1362Aは著明な出血傾向を呈し、A1ドメイン結合能力を欠くことが止血において重要であることが強く示唆された。またCAST/Eiと交配させることにより、VWF血中濃度は著系に上昇し、この系においてVWF量を調節できることが判明した。VWF-/-マウスとVWFK1362Aの交配によりVWF-/K1362Aを得たが、不妊傾向と喰殺により交配計画に遅延が発生した。今後死亡成体が現れれば臓器出血の有無を検討することにより、止血におけるVWFの相対的重要性が確認されると思われる。

研究成果

• [雑誌論文] Increased von Willebrand Factor to ADAMTS13 ratio as a predictor of thrombotic complications following a major hepatectomy (2012)
  • 著者名/発表者名: Kobayashi S , Matsushita T
  • 雑誌名: Arch Surg 巻: 147(10) ページ: 909-17
  • DOI: DOI:10.1001/archsurg.2012.998
  • 査読あり
• [雑誌論文] A possible mechanism for Inv22-related F8 large deletions in severe hemophilia A patients with high responding factor VIII inhibitors. (2012)
  • 著者名/発表者名: Fujita J, Matsushita T.
  • 雑誌名: J Thromb Haemost 巻: 10(10) ページ: 2099-107
  • DOI: DOI:10.1111/j.1538-7836.2012.04897.x
  • 査読あり
• [雑誌論文] Thrombosis from a prothrombin mutation conveying antithrombin resistance. (2012)
  • 著者名/発表者名: Miyawaki Y, Matsushita T
  • 雑誌名: N Engl J Med 巻: 366(25) ページ: 2390-6
  • DOI: DOI:10.1056/NEJMoa1201994
  • 査読あり
• [雑誌論文] Clinical pharmacological study of a plasma-derived factor VIIa and factor X mixture in haemophilia patients with inhibitors - Phase I trial (2012)
  • 著者名/発表者名: Shirahata A, Matsushita T
  • 雑誌名: Haemophilia. 巻: 18(1) ページ: 94-101
  • DOI: DOI:10.1111/j.1365-2516.2011.02548.x.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Life-threatening hemorrhage and prolonged wound healing are remarkable phenotypes manifested by complete plasminogen activator inhibitor-1 deficiency in humans (2011)
  • 著者名/発表者名: Iwaki T, Matsushita T
  • 雑誌名: J Thromb Haemost 巻: 9(6) ページ: 1200-6
  • DOI: DOI:10.1111/j.1538-7836.2011.04288.x.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Successful fertility management of a patient with factor V deficiency: planned transfusion of fresh frozen plasma under infertility treatment (2011)
  • 著者名/発表者名: Iwase A, Matsushita T
  • 雑誌名: Fertil Steril 巻: 95(6) ページ: 2124.e5-7
  • DOI: DOI:10.1016/j.fertnstert.2011.01.011
  • 査読あり
• [雑誌論文] Severe hemophilia A in a Japanese female caused by an F8-intron 22 inversion associated with skewed X chromosome inactivation (2010)
  • 著者名/発表者名: Miyawaki Y, Matsushita T
  • 雑誌名: Int J Hematol 巻: 92(2) ページ: 405-8
  • DOI: DOI:10.1007/s12185-010-0659-9
  • 査読あり
• [雑誌論文] Heterozygous antithrombin deficiency improves in vivo haemostasis in factor VIII-deficient mice (2010)
  • 著者名/発表者名: Bolliger D, Matsushita T
  • 雑誌名: Thromb Haemost 巻: 103(6) ページ: 1233-8
  • DOI: DOI:10.1160/TH09-10-0732
  • 査読あり
• [雑誌論文] A novel splice site mutation inintron C of PROS1 leads to markedly reduced mutant mRNA level, absence ofthrombin-sensitive region, and impaired secretion and cofactor activity of mutant protein S (2010)
  • 著者名/発表者名: Okada H, Matsushita T
  • 雑誌名: Thromb Res 巻: 125(5) ページ: e246-50
  • DOI: DOI:10.1016/j.thromres.2009.11.029
  • 査読あり
• [雑誌論文] Impaired secretion of carboxyl-terminal truncated factor VII due to an F7 nonsense mutation associated with FVII deficiency (2010)
  • 著者名/発表者名: Tanaka R, Matsushita T
  • 雑誌名: Thromb Res 巻: 125(3) ページ: 262-6
  • DOI: DOI:10.1016/j.thromres.2009.09.014
  • 査読あり
• [学会発表] 静脈血栓塞栓症リスク・アンチトロンビン抵抗性とそのスクリーニング検査法 (2012)
  • 著者名/発表者名: 高木明, 宮脇 由理, 鈴木 敦夫, 藤田 絢子, 牧明日加,奥山 恵理子, 村田 萌, 村手 隆, 松下 正, 小嶋 哲人
  • 学会等名: 第34回日本血栓止血学会学術集会
  • 発表場所: 東京
  • 年月日: 2012-06-08
• [学会発表] 名古屋大学における血友病Bの血液凝固第IX 因子遺伝子解析 (2012)
  • 著者名/発表者名: 村田 萌, 奥山 恵理子, 鈴木 敦夫, 宮脇 由理, 高木明, 村手 隆, 松下 正, 鈴木 伸明, 林 磨由子, 齋藤 英彦, 小嶋 哲人
  • 学会等名: 第34回日本血栓止血学会学術集会
  • 発表場所: 東京
  • 年月日: 2012-06-08
• [学会発表] 抗VWFインヒビター保有von Willebrand Disease(VWD)Type3症例における製剤選択 (2012)
  • 著者名/発表者名: 鈴木 伸明,三田 直美, 松下 正, 小嶋 哲人, 山本 晃士, 勝見 章,林 磨由子, 梶浦 容子, 高津 真由美, 直江 知樹
  • 学会等名: 第60回日本輸血・細胞治療学会総会
  • 発表場所: 福島
  • 年月日: 2012-05-25
• [学会発表] 凝固傷害に対する補充療法 (2011)
  • 著者名/発表者名: 松下正
  • 学会等名: 第18回日本輸血・細胞治療学会秋季シンポジウム
  • 発表場所: 埼玉
  • 年月日: 2011-10-21
• [学会発表] 重症血友病A3症例に見られた血液凝固第VIII因子遺伝子イントロン22逆位を伴う特異なX染色体再構成 (2011)
  • 著者名/発表者名: 藤田絢子,牧明日加,奥山恵理子,村田萌,松下正 他
  • 学会等名: 第73回日本血液学会学術集会
  • 発表場所: 名古屋
  • 年月日: 2011-10-14
• [学会発表] GPIIb 遺伝子において複合へテロ変異を認めた血小板無力症の一症例解析 (2011)
  • 著者名/発表者名: 藤田 絢子,牧 明日加,奥山恵理子,村田 萌,宮脇 由理,鈴木 敦夫,松下 正、 國島 伸治,高木 明,小嶋哲人
  • 学会等名: 第12回日本検査血液学会学術集会
  • 発表場所: 倉敷
  • 年月日: 2011-07-18
• [学会発表] アンチトロンビン抵抗性を検出するトロンビン不活化動態解析法の開発 (2011)
  • 著者名/発表者名: 高木 明,宮脇由理,鈴木 敦夫,藤田 絢子,牧 明日加,奥山恵理子,村田 萌,村手 隆,松下 正,小嶋 哲人
  • 学会等名: 第12回日本検査血液学会学術集会
  • 発表場所: 倉敷
  • 年月日: 2011-07-18
• [学会発表] A case of type 3 von Willebrand Disease who developed anaphylactic anti-VWF inhibitor (2010)
  • 著者名/発表者名: Nobuaki Suzuki, Naomi Sanda, Tadashi Matsushita, Tetsuhito Kojima, Koji Yamamoto, Akira Katsumi, Kanji Hirashima, Yoko Kajiura, Mayumi Takatsu, Tomoki Naoe
  • 学会等名: 第72回日本血液学会学術集会
  • 発表場所: 横浜
  • 年月日: 2010-09-25
• [学会発表] 新規複合ヘテロ変異による先天性第V因子欠乏症の一症例 (2010)
  • 著者名/発表者名: 鈴木敦夫, 宮脇由理, 藤森祐多, 高木明, 村手隆, 山本晃士, 松下正, 高松純樹, 小嶋哲人
  • 学会等名: 第11回日本検査血液学会学術集会
  • 発表場所: 東京
  • 年月日: 2010-07-25
• [学会発表] 複合的遺伝子再構成を認めた重症血友病A症例 (2010)
  • 著者名/発表者名: 宮脇由理, 鈴木敦夫, 藤森祐多, 山田貴之, 高木明, 村手隆, 鈴木伸明, 勝美章, 山本晃士, 松下正, 小嶋哲人
  • 学会等名: 第33回日本血栓止血学会学術集会
  • 発表場所: 鹿児島
  • 年月日: 2010-04-23
• [図書] 【知っておきたい内科症候群】 血液《血小板・凝固系の異常》 播種性血管内凝固症候群、内科(0022-1961) (2012)
  • 著者名/発表者名: 松下正
  • 総ページ数: 1118-1124
• [図書] 【一般内科医がみる血液疾患 血液専門医との効率的な連携のために】一般内科医が対応できる血液疾患の治療 【薬剤使用時の注意事項】処置・手術時の抗凝固薬、抗血小板薬の扱い、Medicina (2011)
  • 著者名/発表者名: 松下正
  • 総ページ数: 1798-1802
• [図書] 症状からアプローチするプライマリケア】出血傾向(紫斑・点状出血) (2011)
  • 著者名/発表者名: 松下正
  • 総ページ数: S159-S163
  • 出版者: 日本医師会雑誌
• [図書] 日本血栓止血学会後天性血友病A診療ガイドライン (2011)
  • 著者名/発表者名: 田中一郎,天野景裕,松下正,日笠聡,嶋緑倫,瀧正志,他
  • 総ページ数: 295-322
  • 出版者: 日本血栓止血学会誌
• [図書] 白血病診療ポケットブック (2011)
  • 著者名/発表者名: 松下正
  • 総ページ数: 318-326
  • 出版者: 中外医学社
• [図書] 【DIC診断・治療の最前線】DICの治療 最近のトピックス アンチトロンビン濃縮製剤とへパリン・ヘパリン類似物質、医学の歩み (2011)
  • 著者名/発表者名: 松下正
  • 総ページ数: 121-125
• [図書] 【抗血栓両方の新潮流-作用機序に基づく治療戦略】抗血栓療法の進歩 静脈血栓症における一次予防と二次予防、カレントテラピー (2011)
  • 著者名/発表者名: 松下正
  • 総ページ数: 495-499
• [図書] 身近な話題・世界の話題 重度出血を有する外傷患者におけるトラネキサム酸の効果(CRASH-2) 無作為化プラセボ比較対照試験 (2011)
  • 著者名/発表者名: 松下正
  • 総ページ数: 316-318
  • 出版者: 血液フロンティア/(株)医薬ジャーナル社
• [図書] 【徹底ガイド DICのすべて 基礎と診療の最前線】 病態生理と病理 消費性凝固障害 (2010)
  • 著者名/発表者名: 松下正
  • 総ページ数: 1420-1428
  • 出版者: 救急・集中治療/(株)総合医学社
• [図書] 【血管合併症の予防・治療をめぐって】 血管合併症の予防・治療をめぐる最新の展開 抗血小板剤・抗凝固療法を中心として (2010)
  • 著者名/発表者名: 太田寛、松下正、宮地茂、土肥博雄、河北誠
  • 総ページ数: 429-443
  • 出版者: 日本臨床内科医会
• [図書] 【血管合併症の予防・治療をめぐって】 ワーファリンによる血管合併症の予防・治療におけるマネジメント 検査・処置・手術における取扱い (2010)
  • 著者名/発表者名: 松下正
  • 総ページ数: 444-447
  • 出版者: 日本臨床内科医会会誌/(一社)日本臨床内科医会
• [図書] 【癌と血栓症】 臨床 造血器腫瘍と血栓症 (2010)
  • 著者名/発表者名: 松下正
  • 総ページ数: 269-273
  • 出版者: 血栓と循環/(株)メディカルレビュー社
• [図書] 【血液疾患の診かた 血液専門医以外のための血液疾患対応マニュアル】 プライマリ・ケア医に必要な血液疾患の知識 血友病鈴木伸明 (2010)
  • 著者名/発表者名: 松下正
  • 総ページ数: 2387-239
  • 出版者: 治療/ (株)南山堂
• [図書] 【血栓症】 種々の病態と血栓症:最近の進歩 骨髄増殖性疾患と血栓症 (2010)
  • 著者名/発表者名: 松下正
  • 総ページ数: 1147-1152
  • 出版者: 最新医学/(株)最新医学社