研究課題
昨年度までの研究により、サイトメガロウイルス(CMV)持続感染患者では健常人と比較して末梢血中のCMV特異的T細胞が多いものの、CMV抗原(CMV pp65 エピトープペプチド)に対するIFN-γ産生能や増殖能が低下しており、これら機能低下にProgrammed cell death-1(PD-1)が関与していることを明らかにした。さらに、IL-6のPD-1を介したT細胞機能低下への関与が示唆されたため、そのメカニズムについて検討した。CD33陽性接着細胞がIL-6を産生し、そのIL-6が接着細胞をさらに増殖させ、その接着細胞上のPD-ligandとT細胞上のPD-1が結合することで抗原特異的T細胞の増殖を低下させている可能性が示唆された。CD33陽性接着細胞を除去することにより、抗原特異的T細胞の増殖効率を改善させ、CMV抗原に限らず、他のウイルス抗原や腫瘍抗原に対する細胞療法の発展に寄与するものと考える。アデノウイルス(AdV)血清型11による感染症は、同種造血幹細胞移植後の出血性膀胱炎の原因となり、現在我が国において承認された有効な抗ウイルス剤はなく、予後不良な合併症である。AdV血清型11感染症に対する細胞療法の開発のために、HLA-A*24:02拘束性のAdV血清型11の新規エピト―プを同定した。さらに、AdV血清型11による出血性膀胱炎を合併した患者における、そのエピトープを認識する抗原特異的T細胞の体内での頻度をMHCテトラマー法により検討したところ、抗原特異的T細胞の出現後に感染症の改善が得られたことから、同定したエピトープの臨床的有用性も示唆され、今後、多数例での検討を行う必要がある。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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日本アフェレーシス学会雑誌
巻: 31(3) ページ: 223-228