研究概要 |
我々が選別してきたリンパ球産生制御候補分子Proliferin,OSF-1(Pleiotrophin),OSF-5(Adipocyte enhancer binding protein ; AEBP1)について、KIキメラマウス(免疫グロブリンkappa鎖プロモーターの下流に目的遺伝子を導入することにより成獣マウスのみが目的タンパクを産生する)を作製した。OSF-5-KI-キメラマウスでは、骨髄・脾臓・末梢血中のリンパ球が減少しており、特にpre-B細胞以降のBリンパ球が特異的に減少していた。一方、proliferinやOSF-1の過剰産生は、リンパ造血には影響を及ぼさなかった。新しいリンパ球産生調節候補分子OSF-5には細胞内型と分泌型の2つのsplicing variantが存在する。両者のリンパ球産生制御の関わりを解析すべく、造血幹細胞からの培養系を確立した。 DSS誘導腸炎モデルを確立し、Signal-transducing adaptor protein-2(STAP-2)欠損マウスを用いて検討した。STAP-2欠損マウスでは、DSS誘導腸炎に対し抵抗性を示した。消化管へのマクロファージ浸潤はSTAP-2欠損により減弱していた。チオグリコレートを腹腔内注射した場合、STAP-2欠損マウスでは腹腔マクロファージの活性化・増殖が認められなかった。このように、STAP-2欠損マウスでは炎症反応が減弱しており、その原因としてマクロファージ活性化障害が関与すると考えられた。 以上、Proliferin,OSF-1,OSF-5,STAP-2の生体内作用の解析を行い、特に、OSF-5に関してBリンパ球産生抑制作用を、STAP-2に関してはマクロファージ活性化作用を、明らかにした。
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