研究概要 |
1.平成22年度に臍帯血CD34陽性細胞(CB-CD34+細胞)から作製した赤血球(RBC)のO_2解離曲線パターンが、健常人由来新鮮RBCと同様である事を確認した。2.平成22年度にCB-CD34+細胞から作製したRBCをC12MDP liposomeと全身放射線照射(3Gy)で処置したNOD/SCIDマウスに輸血した際の体内動態が、健常人由来新鮮RBCと同様である事を確認した。3.CB-CD34+細胞から短期間に大血量の小板(PLT)を作製する事に成功した。ヒトtelomerase catalytic subunit (hTERT)の遺伝子を導入して樹立した骨髄ストローマ細胞株(hTERT stroma)にCB-CD34+細胞を重層し、Stem cell factor (SCF), Thrombopoietin (TPO),Flt-31igand(FL)の存在下で14日間培養しCD34+細胞を増幅した。増幅したCD34+細胞をhTERT stromaに重層し、SCF,TPO,FL,Interleukein-11(IL-11),TNIIIA2の存在下で培養し巨核球に分化・増幅した。TNIIIA2を添加した場合は7日間の培養期間で約500倍の巨核球に分化・増幅した。TNIIIA2の代わりにTNIIIA2mutを添加した場合は、同程度の分化・増幅を得るために14日間の培養期間が必要であった。つまり、TNIIIA2を添加して培養する事で、増幅効率を低下させずに短期間で大量の巨核球が得られた。得られた巨核球を更にSCF,TPO,FL,IL-11の存在下で5日間液体培養する事でPLTを大量に産生可能な事を明らかにした。具体的には、妊婦1人分のCBから濃厚PLT輸血製剤11単位に含有されるPLT数に相当する2.2x10^<11>個の正常機能を有するPLTを産生可能であった。
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