研究課題
同種造血幹細胞移植後の移植片対宿主反応は、皮膚、腸管、肝臓などを標的臓器とした移植片対宿主病(GVHD)として知られており、重篤なGVHDを合併した症例の移植関連死亡率は非常に高く、大きな問題となっている。また、移植片対宿主反応は肺病変としての遅発性非感染性肺合併症(LONIPCs)としても認識されてきている。LONIPICsは、一度発症するとコントロールが非常に難しく、予後不良の同種造血幹細胞移植後の合併症の一つである。しかしながら、これらの発症予測は極めて困難であり、急性GVHD発症予測モデル、予防方法の確立およびLONIPCsの発症危険因子の解析は非常に有用である。平成22年に「同種造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病の発症予測のための簡便な血漿バイオマーカーの確立」を課題名とした単施設前向き観察コホート研究を計画し、プロトコールを作成、平成22年9月30日に大阪市立大学大学院医学研究科倫理委員会にて承認を得た(承認番号1865)。平成22年10月1日登録を開始し、計14例の登録があり(非血縁骨髄移植3例、末梢血幹細胞移植5例、非血縁臍帯血移植6例;急性骨髄白血病7例、骨髄異形性症候群4例、再生不良性貧血1例、NK/T細胞性リンパ腫2例)(平成23年3月22日現在)、順調に登録が進んでいる。現在まで8例(51%)で急性GVHDの発症を認めている。当科では、およそ年間40例の同種造血幹細胞移植を施行しており、目標症例70例は研究期間内に十分症例の集積は可能である。現在、採取した血漿のサイトカインの分析を行っている。今後、統計解析にて急性GVHD発症予測モデルの確立を行う予定である。また、beclomethasone dipropionate(BDP)を用いた同種造血幹細胞移植後の急性GVHDの発症予防効果の検討のための新たなプロトコールを現在作成中である。
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Int J Hematol(Epub,Mar,2011)
巻: 93 ページ: 509-516
Haematologica
巻: 95 ページ: 1857-1864
http://medwebsv.med.osaka-cu.ac.jp/labmed/index.html