研究課題
同種造血幹細胞移植後の移植片対宿主反応は、皮膚、腸管、肝臓などを標的臓器とした移植片対宿主病(GVHD)として知られており、重篤なGVHDを合併した症例の移植関連死亡率は非常に高く、大きな問題となっている。また、移植片対宿主反応は肺病変としての遅発性非感染性肺合併症(LONIPCs)としても認識されてきている。LONIPICsは、一度発症するとコントロールが非常に難しく、予後不良の同種造血幹細胞移植後の合併症の一つである。しかしながら、これらの発症予測は極めて困難であり、急性GVHD発症予測モデル、予防方法の確立およびLONIPCsの発症危険因子の解析は非常に有用である。平成22年に「同種造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病の発症予測のための簡便な血漿バイオマーカーの確立」を課題名とした単施設前向き観察コホート研究を計画し、平成22年9月30日に大阪市立大学大学院医学研究科 倫理委員会にてプロトコールの承認を得た(承認番号1865)。平成22年10月1日登録を開始し、現在まで、計49例の登録があり(平成24年3月31日現在)、順調に登録が進んでいる。現在まで、のべ42例の急性GVHDの発症を認めている。当科では、およそ年間40例の同種造血幹細胞移植を施行しており、当初の目標症例数70例は十分到達可能な症例数であり、さらに今年3月、目標症例数を100例に拡張した。現在、採取した血漿のサイトカインの分析を順に行っている。今後、統計解析にて急性GVHD発症予測モデルの確立、LONIPCsの発症危険因子の解析を行う予定である。また、beclomethasone dipropionate(BDP)を用いた消化管急性GVHDの早期治療の新たな非無作為化非盲検非対称PhaseI/II試験「同種造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病(GVHD)に対するベクロメタゾンプロピオン酸エステル製剤(BDP)の安全性・有効性および有効性予測因子の検討」を作成、平成24年3月5日に大阪市立大学大学院医学研究科 倫理委員会にて承認を得た(承認番号2249)。現在、2例の登録を行っており(平成24年3月31日現在)、目標症例数は26例を予定している。
2: おおむね順調に進展している
当科では、およそ年間40例の同種造血幹細胞移植を施行しており、設計したプロトコールの残り症例数は平成24年度中に十分到達可能と考えます。
当科の血液腫瘍制御学臨床研究センターの協力のもと、症例登録管理、検体回収のスケジュール管理を行い、今後正確で、漏れのない評価を行って行く予定です。
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