研究課題
奈良医大輸血部では全国の医療機関からの依頼により血栓性微小血管障害症(TMA)の病態解析を行い、2012年12月末までに1149例のTMAの解析を終了した。そのうち、造血幹細胞移植(SCT)後にTMAを発症した症例は75例であった。SCT-TMA症例では、TMAの典型例である血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)とは異なり、ADAMTS13活性は著減しないことが報告されているが、我々の集積した症例でも、3%未満への著減は認めなかった。しかし、外部からの症例では、診断時の検体のみしか解析できず、経時的な検討ができなかった。そこで、奈良医大附属病院院内でのSCT症例について、TMA発症の有無にかかわらず移植前から検体を収集し、ADAMTS13活性、VWF抗原、VWFマルチマー解析を行った。現在までに、TMA 3例、肝中心静脈閉塞症(VOD)7症例を含む20例のSCT症例について検体を集積し、解析を続行中である。肝VODは、TMAと同様にSCT後に発症する致死的合併症である。ADAMTS13活性は、当院のTMA/VOD症例でも著減例は無く、30-50%程度に低下する症例が多く、VWF抗原量は200%以上に上昇する症例が多かった。VWFマルチマー解析の結果、VODやTMAを発症する症例では、unusually large VWF multimer (UL-VWFM)が発症前に出現し、その後高分子量VWFが欠損するなどのVWFマルチマー異常が認められた。以上のようにSCT-TMAの発症機序として、ADAMTS13ではなくVWFが重要であり、両者のバランスを解析することがTMA発症予測に重要であると考えられた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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