骨代謝と造血とは相互作用している。転写因子NF-κBのRelAを欠損したマウスの胎児肝臓細胞を移植したRelA欠損キメラマウスは、重度の骨粗鬆症を発症すると同時にリンパ球の分化が低下する。このマウスの骨粗鬆症は、骨芽細胞による骨形成が低下により起こる。RelA欠損型造血幹細胞そのものの機能は正常であるが、骨粗鬆症の造血環境に置かれた事で、造血幹細胞の機能が低下する。RelA欠損キメラマウスに野生型骨髄マクロファージを移植すると、骨形成のみならず、血球分化の異常も回復した。このことから、正常マクロファージには骨形成を促進し、骨髄内環境を整える作用があり、マクロファージのこれらの機能にはRelAが不可欠であることが明らかした。
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