研究課題
自己抗体産生細胞として同定されたRP105陰性B細胞に対して、BCMAのリガンドであるBAFFやAPRIL制御による治療への応用の可能性について検討を行った。この際にin vitroにおいてRP105陰性B細胞の生存細胞数を計測し、BAFF,APRILの機能的解析を行った。SLE由来のRP105陰性B細胞は、BCMAを特異的に発現していた。強力なCD40Lにより、RP105陰性B細胞は、細胞死が誘導されたが、そのリガンドであるBAFF、APRILにより、同細胞は細胞死を回避し、生存に寄与した。一方、RP105陽性B細胞はBAFF,APRILにより細胞死を回避しえなかった。また、基礎的研究として、B細胞でのRP105陰性B細胞の分化段階の位置付けするためにフローサイトメトリーを用いて、RP105陰性B細胞のフェノタイプの解析を行った。この際に、RP105陰性B細胞はさらに、活性化B細胞、前期・後期形質芽細胞、早期形質細胞、形質細胞の後期B細胞の5サブセットを形成していることが明らかとなった。SLEでは、RP105陰性B細胞の増加が認められるが、そのサブセットのうち、形質芽細胞の増加が特徴的な所見であり、病態に寄与している可能性があると考えられる。また、このうち、新たなB細胞サブセットを形成する細胞群がSLEにおいて存在することを初めて同定した。
2: おおむね順調に進展している
RP105陰性B細胞の基礎的データの集積が終了し、B細胞の治療標的としてBCMAが有用である可能性を解析できたので、おおむね順調に進展していると考えられる。また、新たなB細胞サブセットして、B細胞分化後期のサブセット群を同定しえたことは、SLEの研究で有用な情報であると思われる。
RP105陰性B細胞に対する治療分子標的としてBCMAが有用であることが明らかとなったため、今後、SLEの治療法として、発展させていく。また、新たなB細胞サブセットの同定ができたため、さらに詳細なフェノタイプ解析を行うとともに、新たなサブセットに発現して、しかもSLEの病態に特異的な標的分子の同定を今後の課題としていく。
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