研究課題/領域番号 |
22591078
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中村 英樹 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10437832)
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研究分担者 |
川上 純 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (90325639)
中村 龍文 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (00198219)
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キーワード | シェーグレン症候群 / HTLV-I / ケモカイン |
研究概要 |
具体的内容:HTLV-Iの高浸淫地域である本県ではHTLV-I感染とシェーグレン症候群(SS)発症との間に疫学的な関運が証明されているものの、SS唾液腺のアポトーシス陽性率、唾液腺破壊関連分子発現は、HTLV-I感染の有無で有意差はみられなかった。近年HTLV-I関連脊髄症-SS患者唾液腺ではectopic germinal center (GC)が少ないことを見出し、その病態にCXCL13が関与していた。またウイルス感染と自然免疫の関与が注目されており、SS唾液腺におけるtoll-like receptor (TLR)の発現を報告した。今回、口唇生検で得られたSS唾液腺培養上皮細胞をTLR2-4のリガンドで刺激し、燐酸化Akt発現増強を伴うTLR2/3発現がみられた。また、TLR3リガンドであるPolylC刺激ではSS、正常コントロール唾液腺上皮細胞共に有意な核断片化がみられ、TUNEL染色によりアポトーシスであることを確認した。ヘキスト染色による核断片化像に一致してTLR3および燐酸化Aktの共発現がみられた。TUNEL染色陽性数・caspase3断片化はそれぞれ画像解析ソフトおよびWBによる検討によりPI3K inhibitorによりむしろ有意に抑制された。 意義:代表的な自然免疫レセプター分子であるTLRのうち、TLR3を介したSS唾液腺破壊が示された。 ウイルス感染等防御機構の受け皿であるTLRの下流シグナル伝達により、細胞死が起こることが明らかとなった。 重要性:今後は、HTLV-Iが口唇生検で得られた唾液腺上皮細胞に感染しうるのかを確認しHTLV-Iの構成蛋白質に特異的なモノクローナル抗体を用いた蛍光免疫染色を行い、唾液腺上皮細胞上の感染頻度を検討する。感染上皮細胞について、細胞死抑制蛋白やサイトカイン・ケモカイン発現を検討する。さらに、HTLV-Iエフェクター細胞と、唾液腺上皮細胞上のCXCL12/13の発現も検討する。HTLV-I感染によりこれらの分子の発現を検討すれば、GCのケモカイン発現におけるHTLV-Iの役割も推察することができると考えられる。
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