わたしたちはHTLV-I感染はSS発症の環境要因であり、抗HTLV-I抗体陽性SS患者での 抗HTLV-I抗体陰性SSと比較して、抗HTLV-I抗体陽性SSの唾液腺は構造破壊を来たしにくいことを示した。この傾向はHAMに合併するSSに顕著に認められた。 唾液腺局所でのectopic GCは、SSでは頻度は比較的低いも検出されるが、HAM合併SSの生検唾液腺組織には全くectopic GCは検出されない。私たちの検討ではCXCL13の唾液腺組織における発現がHAM合併SSでは全く検出されなかったことも明らかとなり、GCを介した唾液腺破壊の観点からもHTLV-I陰性SSとの違いがうかがえる。今回、 抗HTLV-I抗体陽性SSと抗HTLV-I抗体陰性SSの唾液腺生検組織での比較検討を、ectopic GC、ケモカインなどを中心に解析した。 ヒトリンパ節のGC内のCXCL13発現が濾胞性樹状細胞(FDC)の分布と類似していることを連続切片による免疫染色で確認した。次いでSS小唾液腺組織におけるCXC13とFDCの発現を蛍光染色で検討したところ、HTLV-I関連脊髄症(HAM)合併SS小唾液腺やHTLV-IキャリアSS小唾液腺では両者発現はみられなかった。しかし、異所性GCを有するHTLV-I陰性SS小唾液腺では、CXCL13(ローダミン標識二次抗体使用)およびFDC(FITC標識二次抗体使用)両者が蛍光免疫染色により共発現していた。 また、共培養上清のサイトカインアレイを行い、可溶性ICAM-1などの発現が観察された。一方、唾液腺上皮細胞ライセートにおけるアポトーシス関連蛋白アレイ解析では72hr共培養後、FasおよびBcl-x発現が明らかに増強し、cytochrome Cの発現も増強していた。
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