研究概要 |
ブレオマイシン誘導性強皮症モデルマウスを用いて、分子生物薬であるスニチニブの抗線維化作用を検討した。実験は、i)ブレオマイシンとスニチニブを同時に投与する、ongoing experiment, ii)ブレオマイシンで皮膚硬化が誘導された後に、スニチニブのみを投与する、post-onset experiment,の二つの系で行った。 C3H/HeJマウス背部皮膚へブレオマイシン(250μg/ml)を局注して皮膚硬化を誘導するとともに、スニチニブ(4mg/kg,40mg/kg)を経口投与した。 3週間後、ブレオマイシンとスニチニブの同時投与により、病理組織学的な皮膚硬化は有意に抑制された。一方、対照群(経口生理食塩水投与)では、皮膚硬化は抑制されなかった。皮膚に含有されるコラーゲン量も有意に減少してみられた。また皮膚に浸潤する肥満細胞数、真皮の厚さも有意に減少してみられた。しかし、肺の線維化は抑制されなかった。 これに対し、先にブレオマイシンで皮膚硬化を誘導した後にスニチニブ(40mg/kg)を3週間投与した群では、皮膚硬化の抑制はみられなかった。 今後は、スニチニブの抗線維化作用のメカニズムについて、さらに詳しい検討を予定している。
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