1. 中枢神経(CNS)ループス出現頻度の検討(栃木県モデルとして) 全身性エリテマトーデス(SLE)症例全体におけるCNSループスの出現頻度を明らかにする為に、3年間(2010年4月1日から2013年3月31日まで)の前向き調査を自治医科大学付属病院アレルギーリウマチ科、独協医科大学呼吸器・アレルギー内科、済生会宇都宮病院血液リウマチ科で2010年4月1日より開始した。 SLEとして登録された症例は2010年4月1日時点で719例、2010年度(2010年4月1日から2011年3月31日まで)にSLEとして新たに追加登録した症例は33例であった。2010年度に11例がCNSループスの診断を受けた。その内訳はSLE初発(2010年度SLEとして新規登録した症例)7例(63.6%)、2010年4月1日時点で既にSLEとして登録された症4例(36.4%、4例全例が2010年4月1日以前にもCNSループスを発症)であった。 2010年4月1日時点で登録されたSLE症例全体に対する2010年度のCNSループス発症頻度は0.56%、2010年度SLE新規登録症例全体に対するCNSループス発症頻度は21.2%であった。 今回の検討ではCNSループス発症症例の半数以上がSLE初発であり、SLE初発時にCNSループスを発症する割合は約2割であることが判明した。SLE初発例を診る場合は、CNSループスの発症に注意する必要がある。SLE初発で無いCNSループスの発症例は全てCNSループス既往があった。CNSループス既往例をフォローしている場合は、CNSループスの再発に注意する必要がある。
|