1.中枢神経ループス(NPSLE)出現頻度の検討(栃木県モデルとして) 2012年度(12年4月1日~13年3月31日)の全身性エリテマトーデス(SLE)新規追加登録症例は36例(SLE初発30例、2012年4月1日より前に既に他医療機関でSLEと診断された6例)。2012年4月1日時点より2例(既登録1例[2009年SLE発症]、新規追加登録1例[2003年SLE発症])死亡の為、2013年4月1日時点登録SLE患者は823例となった。 2012年度のNPSLE発症例は15例で、NPSLE発症率は1.82%。症状別の検討ではループス精神病10例(その内SLE初発7例、SLE初発7例を含む9例が第1回目のNPSLEを発症、残り1例がNPSLE再発)、局所性中枢神経障害5例(その内SLE初発1例、5例全てが第1回目のNPSLEを発症)。NPSLE症状の3分の2がループス精神病で、しかもループス精神病に限ると7割がSLEを発症して1年以内に出現し、ループス精神病はSLE発症早期に発症しやすいことが判明。 2. in vitroによるSLE症例由来の精製IgG 抗NMDAR2 抗体の脳血管内皮細胞(EC)活性化の検討 精製IgG 抗NMDAR2 抗体はdsDNA成分に濃度依存性に結合した。抗dsDNA抗体の一部であることを確認した。更に精製IgG 抗NMDAR2 抗体は臍帯静脈由来EC表面に濃度依存性に結合し、IL-1やTNF-αを介さずにNF-κB の核移行によるEC 活性化(IL-6・IL-8産生増強、接着分子[ELAM-1・VCAM-1・ICAM-1]発現増強)を直接誘導した。抗NMDAR2 抗体が血液脳関門(BBB)EC表面上に存在するNMDAレセプターに結合し、NF-κBを介した炎症を引き起こし、BBB破壊が出現することによりNPSLE が発症する可能性を見出した。
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