研究課題/領域番号 |
22591091
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤井 隆夫 京都大学, 医学研究科, 准教授 (70255462)
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キーワード | タイプIインターフェロン / ケモカイン / 全身性エリテマトーデス / 肺高血圧症 / 血管内皮細胞 |
研究概要 |
タイプIインターフェロン(IFN)はしばしば自己免疫疾患を誘導することが知られている。そのメカニズムは不明であるが、今年度は全身性エリテマトーデス(SLE)をはじめとした膠原病の難治性病態である肺高血圧症の誘導に関して、タイプI-IFNが関与するサイトカインと細胞について検討した。ヒト大動脈血管内皮細胞(HAEC)、ヒト肺動脈血管内皮細胞(HPAEC)、ヒト肺動脈微小血管内皮細胞(HLMVEC)を用いて、タイプI-IFN存在下で、他のサイトカインやこれらの細胞がどのような変化を起こすか調べた。タイプI-IFNは特にHPAECとHLMVECからCX3CL1(fractalkine)およびCCL5(RANTES)を誘導したが、HAECからの誘導はヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)に比して有意ではなく、肺動脈により強く働く可能性が示唆された。これらの作用は同じタイプI-IFNでもIFN-αよりIFN-βでより強く認められた。さらにこれらの作用はpan-JAK阻害薬で抑制された。これらはすべてinvitroにおける知見であるが、SLEや混合性結合組織病患者ではタイプI-IFNが病因的意義を有するサイトカインであることが多数報告されており、またこれらの疾患における肺高血圧症の治療ターゲットとしてタイプ1-IFNやJAK pathwayの可能性を示唆するものである。現在まで、タイプ1-IFNと、病変部局所におけるサイトカインを分析した報告はなく、今年度の結果は重要な知見と考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タイプIインターフェロンと抗核抗体、および肺高血圧症という病態に絞って検討を進めているが、来年度はさらに他のサイトカインや細胞に与える影響も調べる予定である。現時点で論文準備中であるため、進捗抹況としては問題ないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
当面は、in vitroの研究で遂行したい。特に研究面での問題点はないが、資金面で十分な実験ができない場合には、さらに平成25年度以降も資金を調達した上で継続したい。なお論文については来年度中に完成できる見込みであり、平成24年度までで十分に目標は達成されるものと考えている。
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