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2011 年度 実績報告書

新しい自己炎症疾患から学ぶポストゲノム時代の蛋白機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 22591094
研究機関久留米大学

研究代表者

井田 弘明  久留米大学, 医学部, 准教授 (60363496)

研究分担者 有馬 和彦  長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (30423635)
キーワード遺伝学 / 遺伝子 / ゲノム / 生体分子 / 内科 / 自己炎症症候群 / プロテアソーム
研究概要

遺伝子異常から明白なフェノタイプがヒトに出現する「自己炎症疾患」を研究することで、ヒトの遺伝子がコードする蛋白の機能が解明できると考えられる。自己炎症疾患では、ひとつの遺伝子異常によってヒトに生じる症状が明白であり、その遺伝子がコードする蛋白のヒトでの役割が解明される可能性がある。つまり、ポストゲノムの時代の有力なツールとなりうると考え、研究を計画した。
平成22年度に中條-西村症候群の疾患遺伝子が、イムノプロテアソームの1コンポーネントPMSB8であり、患者細胞株を使用したプロテアソームの機能解析では、キ-モトリプシン活性が著減、トリプシン活性とカスパーゼ活性も半減していた。さらに、プロテアソームの各コンポーネントのウエスタンブロット法にて、プロテアソーム形成不全を証明、中條-西村症候群は、遺伝子変異によるプロテアソーム機能不全症であった。
平成23年度の本研究において、プロテアソームと炎症との関係を検討するために、患者血清・線維芽細胞株・末梢血を使用、健常者と比較した。患者血清中のサイトカイン・ケモカインは、IL-6、IP-10、MCP-1、G-CSFが有意に上昇、患者線維芽細胞・末梢血の検討では、NF-KB非依存性であり、リン酸化p38の核での蓄積を認めた。また、線維芽細胞では、TNFα刺激・無刺激ともに、有意なIL-6産生増加がみられた。
近年、欧米から似た疾患(JMP症候群、CANDLE症候群)が報告されたが、ともに中條一西村症候群と同様、PMSB8の変異に起因するプロテアソーム機能不全症であった。これらの疾患との異同も検討しながら、プロテアソーム機能不全と慢性炎症との関係をさらに研究したい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

中條-西村症候群の解析は順調であるが、もう一つの疾患「肥厚性骨膜症」の解析が遅れている。中條-西村症候群の解析に時間・労力を費やしすぎたことが原因であり、今年度は、「肥厚性骨膜症」の解析に力を入れたい。

今後の研究の推進方策

本年度は、骨と発熱との関連が示唆される発熱を伴う「肥厚性骨膜症」の症例を利用して、肥厚性骨膜症患者の発熱機構を解明したい。病態解明と同時に、次世代シークエンサーを利用した疾患遺伝子も同定したい。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] 特集II自己炎症症候群中條-西村症候群の臨床と病態2011

    • 著者名/発表者名
      井田弘明、吉浦孝一郎、金澤伸雄
    • 雑誌名

      炎症と免疫

      巻: 19 ページ: 153-157

  • [雑誌論文] Proteasome assembly defect due to a proteasome subunit beta type 8 (PSMB8) mutation causes the autoinflammatory disorder, Nakajo-Nishimura syndrome2011

    • 著者名/発表者名
      Arima K, Kinoshita A, Mishima H, Kanazawa N, Kaneko T, Mizushima T, Ichinose K, Nakamura H, Tsujino A, Kawakami A, Matsunaka M, Kasagi S, Kawano S, Kumagai S, Ohmura K, Mimori T, Hirano M, Ueno S, Tanaka K, Tanaka M, Toyoshima I, Sugino H, Yamakawa A, Tanaka K, Niikawa N, Furukawa F, Murata S, Eguchi K, Ida H, Yoshiura K
    • 雑誌名

      Proc Natl Acad Sci USA

      巻: 108 ページ: 14914-14919

    • DOI

      10.1073/pnas.1106015108

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 中條-西村症候群2011

    • 著者名/発表者名
      金澤伸雄、有馬和彦、井田弘明、吉浦孝一郎、古川福実
    • 雑誌名

      日本臨床免疫学会

      巻: 34 ページ: 388-400

  • [学会発表] Proteasome disability syndrome : an analysis of the pathogenesis of a new autoinflammatory syndrome, Nakaio-Nishimura syndrome2011

    • 著者名/発表者名
      Ida H
    • 学会等名
      75th annual meeting of the American College of Rheumatology (ACR 2011)
    • 発表場所
      Chicago
    • 年月日
      20111105-20111109
  • [学会発表] A novel mutation of proteasome subunit causes decrease of proteasome activity in Nakajo-Nishimura syndrome (familial Japanese fever)2011

    • 著者名/発表者名
      Ida H
    • 学会等名
      10th World Congress on Inflammation
    • 発表場所
      Paris
    • 年月日
      20110625-20110629
  • [学会発表] プロテアソーム機能不全症(中條-西村症候群)の病態解析2011

    • 著者名/発表者名
      井田弘明
    • 学会等名
      第32回日本炎症・再生医学会
    • 発表場所
      京都市
    • 年月日
      20110602-20110603
  • [産業財産権] 自己炎症疾患又は自己免疫疾患関連遺伝子及びその利用2011

    • 発明者名
      吉浦孝一郎、井田弘明、金澤伸雄
    • 権利者名
      吉浦孝一郎、井田弘明、金澤伸雄
    • 産業財産権番号
      特願2011-177269
    • 出願年月日
      2011-08-12

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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