研究課題
Reg (Regenerating gene)は膵β細胞の再生増殖に関わる遺伝子として同定された遺伝子群である。唾液腺・涙腺にリンパ球の浸潤と腺上皮の障害を特徴とする原因不明の慢性炎症性疾患であるシェーグレン症候群(SS)におけるRegの関与を検討した。SS患者唾液腺組織を用いた検討により、REG Iαに関与する自己免疫応答がSSの唾液腺障害と再生機構に関与する事を明らかにした。さらに、SS患者唾液腺組織でのREG Iαの発現は、種々のサイトカイン・ケモカインmRNA量の解析からIL-6がその調節役を担っていると考えられた。本年度は、ラット培養唾液腺導管細胞(A5細胞)を用いてRegの遺伝子発現誘導の機構についての解明を進めた。REG Iα転写調節に関与するサイトカイン(IL-6, IL-8, IL-11, IL-22, IFNβ)について、A5細胞を用いたルシフェラーゼ・アッセイにより解析した。ヒトREG Iαプロモータをルシフェラーゼレポータ遺伝子の上流に挿入したプラスミドをA5細胞に導入した後、各サイトカインで処理してREG Iα転写活性を解析した。IL-6とIL-11が、A5細胞におけるREG Iα転写を有意に増強した。一方、IL-6とIL-11の両者によるREG Iα転写に対する相乗作用は認めなかった。したがって、IL-6とIL-11のREG Iα転写活性化機序は同一であり、IL-6とIL-11が独立してREG Iαの発現増加を調節していると考えられた。以上の結果から、IL-6とIL-11による唾液腺導管細胞のREG Iα発現調節の経路がSSの唾液腺障害に重要な役割を果たす可能性がある。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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