研究概要 |
IL-4,IL-5,IL-13を産生するTh2細胞は、喘息などのアレルギー疾患の発症と密接な関係がある。T細胞に発現する補助シグナル分子CD27は、抗原提示細胞上のCD70と結合することによりCD8 T細胞の機能調節に関わると考えられているが、CD4 T細胞の機能にも関わると考え、卵白アルブミン蛋白(OVA)誘発性喘息モデルマウスに抗CD70抗体を投与して、発症の促進・抑制の効果の検討を行った。誘導期に投与した結果、気道過敏性亢進の抑制、気管支肺胞洗浄液中の好酸球数の減少、OVA再刺激によるT細胞増殖およびIL-4,IL-5,IL-13の産生抑制が有意に認められた。発症期に投与を行っても変化はなかったことから、この抑制効果はCD4 T細胞の分化抑制によりもたらされた効果と推察し、さらにDO11.10/Rag-2^<-/->マウスにOVAを免疫して、リンパ節CD4T細胞上のCD27発現の有無を解析した。結果、リンパ節CD4 T細胞はCD27^+群とCD27^-群に分かれ、CD27^+群ではIFN-γを、CD27^-群ではIL-4,IL-5,IL-13を有意に産生することが明らかになった。このDO11.10/Rag-2^<-/->マウスにOVA免疫とともに抗CD70抗体を投与した結果、CD27^- CD4 T細胞数が有意に減少した。従ってDO11.10/Rag-2^<-/->マウス生体内では、抗原提示細胞上のCD70とナイーブCD4 T細胞上のCD27が結合した後にCD27の発現量が減少、CD27^- CD4 T細胞となり、同時にCD27を介したシグナル伝達によりTh2タイプサイトカイン(IL-4,IL-5,IL-13)を産生するTh2細胞へと分化を誘導していることが示唆された。抗CD70抗体の投与がCD27^- CD4 T細胞数を減少させたことから、OVA誘発性喘息モデルマウスにおける抗CD70抗体による発症抑制効果は、Th2細胞分化の阻害あるいはTh2細胞数の減少によりもたらされた効果だと考えられる。
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