研究課題
LRG(Leucine rich alpha2 glycoprotein)は、以前申請者らが免疫疾患患者血清より同定した新規炎症マーカー蛋白質である。関節リウマチ等のヒト自己免疫疾患において上昇するが、その役割はこれまで不明であった。本研究の目的は、LRGの生理機能および疾患病態への関与を解明し、治療標的としての意義を検討することで、難病の新規治療法開発へとつなげる事である。①LRG KOマウスの作成とLRGの炎症における機能の解析平成23年度に得られたLRG KOマウスを繁殖に用いたところ、子のKOマウスも正常に出生し、健康に成長して交配可能となり、加齢による特別な変化も認められなかった。本年度は繁殖したKOマウスを用いて種々の疾患モデルの作製を行った。具体的には、LPS投与(菌血症モデル)、関節炎・腸炎・ぶどう膜炎等の自己免疫疾患誘導、加齢性黄斑変性症様の血管新生誘導、癌細胞移植(担癌モデル)などを行い、野生型マウスとの比較を行った。この結果、いくつかの疾患モデルにおいて、LRGの重要性を示唆する結果が得られた。LRGは創薬標的としても有望と考えられ、本年度より秘密保持契約のもとで製薬企業との共同研究を開始した。現在、論文作成に向けた各データの蓄積と分子レベルでの病態解析が進行中である。②LRG のin vitroでの機能解析LRGは細胞外分泌蛋白であるが、受容体や結合タンパク質は不明である。これまでの研究で同定した受容体候補蛋白については中和抗体を用いた検討の結果、LRGシグナル伝達に必須ながら十分ではないことが示唆された。本年度は、他の受容体分子を同定するため、(1) 酵母ツーハイブリット法による結合分子探索と (2) LRG結合性膜表面蛋白質のカラム精製とプロテオミクス手法による分子同定を行った。現在、同定された候補分子について培養細胞レベルにて個別検討中である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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