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2010 年度 実績報告書

単純ヘルペスウイルスの母子感染におけるトロピズムを決定する遺伝子の解析

研究課題

研究課題/領域番号 22591104
研究機関富山大学

研究代表者

大黒 徹  富山大学, 医学薬学研究部・ウイルス学, 准教授 (80291409)

キーワードHSV / 母子感染 / トロピズム
研究概要

単純ヘルペスウイルス(HSV)の母子感染は重篤な新生児ヘルペスを引き起こすが、その感染に関わる因子は明らかではない。HSV-2の母子感染2例の母と子から分離されたウイルスと、性器ヘルペス患者の子宮頸部と外陰部の病変から同時に分離されたHSV-1とHSV-2の各6ペア(合計12ペア)について、感染部位と分離されたウイルスの性状を検討し、Vero細胞では温度感受性に差異があることを明らかにした。さらにこれらの温度感受性の性状を反映するような細胞株を検索し、感染部位を決定する因子の解明を目的とした。
外陰部と子宮頸部に病変がある患者6人から同時にペアで採取したウイルスの性状について解析した。疫学的背景を探るために分離ウイルスDNAの制限酵素断片を比較した。外陰部型と子官頸部型では、Vero細胞での増殖性で温度感受性に差が認められるので、種々の細胞での増殖性をVero細胞と比較した。遺伝子配列の解析を行い、各ペア間で差異のある遺伝子を検索した。
母子感染例から分離されたウイルスは母の外陰部、子宮頸部、子の順に有意に温度感受性で(P<0.05)、温度感受性が選択的な感染に関わることが示唆された。また、性器ヘルペス患者からの例では、外陰部から分離されたウイルスは子官頚部のウイルスに比べ有意に温度感受性であり、この性状は1型、2型ともに共通であった。ヒト肝癌由来(HepG2)細胞で頸部由来のHSVの増殖性がよく、37℃培養下におけるHepG2とVero細胞でのブラック形成の割合をHepG2/Veroとして表現し比較検討を行ったところ、温度感受性と相関関係が認められた。
母子を含め同一症例から分離したウイルスを比較検討したところ、分離されたペア間での制限酵素断片と温度感受性の差異が認められ、分離部位によりウイルスの遺伝子型が異なることが示唆された。HepG2細胞では外陰部由来のHSVに比べ、頸部由来のウイルスの増殖性がよく、温度感受性と同様に外陰部型、頸部型ウイルスの判別の指標に有効であると考えられた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] A single mutation responsible for temperature sensitive entry and assembly defects in the VP1-2 protein of HSV.2011

    • 著者名/発表者名
      Femando Abaitua
    • 雑誌名

      Journal of Virology

      巻: 85 ページ: 2024-2036

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Widespread circulation of echovirus type 13 demonstrated by increased seroprevalence in Toyama, Japan, between 2000 and 20032010

    • 著者名/発表者名
      Masae Iwai
    • 雑誌名

      Clinical Vaccine Immunology

      巻: 17 ページ: 764-770

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Novel anti-cytomegalovirus activity of immunosuppressant mizoribine and its synergism with ganciclovir2010

    • 著者名/発表者名
      Takashi Kuramoto
    • 雑誌名

      Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics

      巻: 333 ページ: 816-821

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Antibody to Varicella-Zoster Virus Immediate Early 62 Augments Allodynia in Zostervia Brain-Derived Neurotrophic Factor (BDNF)2010

    • 著者名/発表者名
      Yuka Hama
    • 雑誌名

      Journal of Virology

      巻: 84 ページ: 1616-1624

    • 査読あり
  • [学会発表] VZV gene transcription in cells treated with anti-gH antibody during the quiescent state2010

    • 著者名/発表者名
      Tohru Daikoku
    • 学会等名
      35^<th> Annual International Herpesvirus workshop
    • 発表場所
      Salt Lake City, Utah, USA
    • 年月日
      20100724-20100729

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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