研究課題/領域番号 |
22591105
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
伊保 澄子 福井大学, 医学部, 学内講師 (80151653)
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研究分担者 |
竹内 健司 福井大学, 医学部, 助教 (40236419)
前山 順一 国立感染症研究所, 血液・安全性研究部, 主任研究官 (40199641)
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キーワード | 粘膜ワクチン / CpG DNA / アジュバント / 形質細胞様樹状細胞 / IgA / Th1 / Th2 / IFN-γ |
研究概要 |
本研究の目的は、新興・再興感染症の感染予防及び発症・重症化の対策に向けて、形質細胞様樹状細胞(以下pDC)の活性化を介して全身に防御免疫を誘導し得る新しいタイプの感染症粘膜ワクチンを開発することである。申請者らは、開発した免疫刺激オリゴDNAG91[特許3976742号]が、ヒトの口蓋扁桃の細胞に、pDCの活性化を介してTh1免疫を誘導したことから、G91は粘膜ワクチンのアジュバントに有用であろうと考えた。その検証のため、本年度は、微生物抗原の鼻腔内投与システムを用いて、G91が粘膜を含む全身に防御免疫を誘導・増強し得るかどうか、また、その機構にpDCが関与するかどうかについて検討した。[方法]BALB/cマウスとC57BL6マウスの鼻腔内にモデル抗原としてジフテリアトキソイド(以下DT)を、単独で、G91と共に、または対照アジュバントとして既知の組換えコレラトキシンBサブユニット(rCTB)と共に投与し、免疫応答を比較した。免疫応答へのpDCの関与は、pDC除去マウスを用いて評価した。[結果]G91を共投与すると毒素中和活性が増加した。肺・鼻洗浄液および糞にはDT特異的IgA、血中にはDT特異的IgG1/IgG2a/IgG2cの産生が増加した。IgG抗体の産生をrCTB共投与マウスと比較すると、G91はTh1型免疫の指標となるIgG2a/IgG2cの産生を強く誘導することが示された。脾細胞のIFN-γ(Th1型サイトカイン)の産生もG91共投与マウスにおいて顕著であった。一方、DT特異的なIgEの産生は検出レベル以下であった。IgG抗体価を指標に検討したところ、G91による免疫の形成にpDCが関与していることが示された。[結論]G91をモデル抗原と共に経鼻投与すると、粘膜を含む全身に抗原特異的な防御免疫が増強した。免疫応答の成立にはpDCの関与が示され、G91はpDC活性化を介した感染症粘膜ワクチンのアジュバントとして応用可能であることが示唆された。
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