研究概要 |
研究代表者らは、形質細胞様樹状細胞(plasmacytoid dendritic cell, pDC)に作用してインターフェロンアルファ(interferon-alpha, IFN-α)の産生を誘導する非修飾型のCpG オリゴデオキシヌクレオチド(oligodeoxynucleotide, ODN)「G9.1」(特許3976742号; US7,718,623B2)を開発した。その活性は、デオキシリボヌクレアーゼによる分解を防ぐためにチオール修飾を施した従来型のCpG ODNより高い。さらに、マウスに経鼻投与するとpDC活性化を介してTh1型免疫反応を誘導するため、細胞性免疫の惹起を目的とした粘膜ワクチンのアジュバントとして有用性が高いことが示唆される。 本年度は、G9.1を取り入れた感染症粘膜ワクチンの開発可能性を明らかにするため、G9.1の免疫賦活活性の制御について検討した。まず、微生物感染により産生されるサイトカインの影響について検討したところ、CCL5ケモカイン(RANTES: Regulated upon Activation, Normal T Expressed and Secreted)はG9.1によるIFN-α産生の誘導を約30%抑制することが示された。次に、組み合わせる微生物抗原について検討したところ、G9.1によるIFN-α産生の誘導を亢進する抗原タンパク質があることが明らかになった。この抗原タンパク質をG9.1と共に動物に経鼻投与したところ、抗原タンパク質に対する免疫反応が誘導された。これらのメカニズムを明らかにすることにより、G9.1を取り入れたユニークな粘膜ワクチンが創出可能になると思われる。
|