研究概要 |
NOD Like Receptorsの活性制御を行うため、遺伝子変異導入により作製したドミナントネガティブ体について、細胞レベルでの効果を解析した。 サルコイドーシスの発症機序を明らかにするため、モデル動物での検討を開始した。NOD1ノックアウトマウスに対して、原因菌としてこれまでにわれわれが同定した細胞内局在型のアクネ菌を作用させ、炎症誘導能の変化や肉芽腫の形成を検討する解析を、ミシガン大学病理部との共同で開始した。 International Journal of Hematologyに悪性腫瘍と肉芽腫形成疾患に対するNOD2変異の影響を報告した。欧米ではNOD2 SNPが消化管での感染免疫能を規定することにより骨髄移植後のGraft versus Host Disease (GVHD)の重症度を規定する因子として必須の検査項目になりつつある。本研究では、骨髄移植財団から臨床検体の提供を受けて、日本人集団でのNOD2 SNPとGVHDの重症度について解析を行ったところ、欧米での報告とは逆に、防御的に作用する可能性を示した。また疾患別の発症頻度との相関を解析したところ、急性骨髄性白血病および慢性骨髄性白血病との相関を認めたが、リンパ急性白血病との相関は認めなかった。これまでの欧米での報告から、同じNOD2 SNPが肉芽腫形成疾患と悪性腫瘍の両方の発症に相関していることから、この日本人特有のNOD2 SNPの機能解析をすすめた。またこれまでわれわれが発症機構を明らかにしてきたクローン病、サルコイドーシス、ブラウ症候群に対するNOD1, NOD2の遺伝子変異による影響について、本邦と欧米での相違をInflammation and Regenerationに報告した。変異の頻度および部位は、人種により大きく異なっていた。
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